2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K20029
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西谷 陽志 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (30613715)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | スパイク波 / 識別 / 繰り返し刺激 / 学習効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、先ず昨年度からの実験を継続し、異なる刺激箇所から発生するスパイク波を識別する際の、近隣のニューロンの関わりについて解析した。その結果、隣接するニューロンとの発火タイミングの差が、識別に関与していることが分かった。この成果を原著論文として国際学会誌に発表した。 一方、従来、本申請者が行った培養細胞による実験で、ある一定の頻度で繰り返し刺激を行うと、学習により、刺激応答スパイクの発火タイミングのばらつきが小さくなることが確認された。従って、単発刺激ではスパイク波は神経岐路網をランダムに広がるが、繰り返し刺激により、次第にある一定の経路が確立されてくることが予想される。そこでこの実証に向けて、本年度は、培養神経細胞のスパイク列より、異なる刺激箇所から発生するスパイク波を識別できるニューロンの時空間パターンが、繰り返し刺激に伴いどのように変化するか解析した。その結果、複数の神経回路網サンプルにおいて、刺激回数と識別できるニューロンの個数の間に正の相関が見られた。また、個々のニューロンにおいて、繰り返し刺激に伴い、刺激毎にスパイク波を識別できる連続回数が増加することが確認された。比較のため、乱数列より生成した疑似スパイク列においても、同様の解析を試みた。その結果、上述のいずれの現象は、培養神経細胞によるスパイク列の方が、乱数列による疑似スパイク列より、統計学的に有意に多く観測された。以上より、繰り返し刺激に伴うスパイク波識別の学習効果の一端が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の仮説の通り、繰り返し刺激による異なるスパイク波の識別に関する学習効果の一端を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、先ず、多点・多段通信リンクが形成され、多重通信の制御が行われる可能性を探る。これまでは、2か所の電極(通信リンク数としては2対1~2対2)からの刺激が識別可能なニューロン群を解析してきた。この結果は、基本的には神経間結合重みの分布によるところによると考えられるが、これを拡張し、通信リンク数を、例えば2対2から9 対9 などに増加させ、どの程度まで多対多スパイク列識別(多重通信)が可能か検証する。この実験は、培養神経細胞回路について行い、回路網の個別特性 に依存することであるため、多数の回路網 における結果より、統計学的解析を行う。 次に、3次元空間での多重通信の機構を検証する。これまでの培養神経細胞による実験は、回路網の厚みが、数um程度と極め薄く、事実上、2 次元平面上での解析であった。しかし、動物の脳は3次元空間であり、2 次元と3 次元では多重通信経路数で大きな違いがある。そこで、ラットなどの動物実験により、3 次元神経回路網で通信識別様態を解析し、培養神経細胞における2次元空間の解析結果と比較、検討する。
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Causes of Carryover |
初年度で、年度途中からの交付となったため。 次年度の実験等に使用
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Research Products
(3 results)