2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K20029
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西谷 陽志 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (30613715)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | スパイク波 / 繰り返し刺激間隔 / 識別率向上効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、異なる刺激箇所から発生するスパイクの伝播(スパイク波)の識別が可能性を、培養細胞による実験で検証することである。その中でも、特に刺激を一定間隔で繰り返した際の識別率の変化を探るべく、実験、解析を重ねてきた。その結果、これまでに、刺激を数回繰り返すことにより、連続して識別できる回数が増加することが示された。これは繰り返し刺激によるスパイク波識別の学習効果の一端に起因する、識別率の向上効果を示しているものと考えられる。 そこでこの結果を受け、どの刺激間隔が識別率向上に最適かを検証するために、刺激間隔の相違が識別率にもたらす影響について探求した。具体的には、刺激間隔を 0.5[ms]、1.5[ms]、2[ms]、2.5[ms]、3[ms]として実験を行い、それぞれの刺激間隔における識別率について解析を進めた。その結果、特定のニューロンにおいては、刺激間隔2[ms]以上 のとき、2[ms]未満の時よりも、識別率向上効果が有意に大きくなることが確認できた。しかし、その効果が確認できる領域は、ネットワーク全体における極めて狭い範囲となった。一方、効果が確認できる領域は、刺激間隔1.5[ms]で、最も広くなった。 以上より、現時点では、識別率向上効果については刺激間隔1.5[ms]が最適と考えているが、その科学的根拠を示すには至っていない。また、一般論として、刺激間隔5[ms]以上では、ネットワークの状態はリセットされると言われているが、3[ms]以上の刺激間隔で、識別率向上効果がどのように変化するのか、解析する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で述べた通り、現時点では、識別率向上効果については刺激間隔1.5[ms]が最適と考えているが、その科学的根拠を示すには至っていない。また、一般論として、刺激間隔5[ms]以上では、ネットワークの状態はリセットされると言われているが、3[ms]以上の刺激間隔で、識別率向上効果がどのように変化するのか、解析する必要がある。2019年度は、その実証実験を行う予定であったが、主に実験に協力頂いている共同研究者の勤務先移動などにより、充分な実験が行えず、研究活動が遅延した。 なお、2018年度までの実験結果を纏めて、論文を発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年、充分な実験が行えなかった分の実験、解析を行い、前述の実証を行う。 また、2018年度まで、本研究の主要題目「脳神経回路網における多重通信機構の生理学的実証」において、通信機構は回路網の培養日数に依存する可能性が新たに見えてきた。これについても実証する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、主に実験に協力頂いている共同研究者の勤務先移動などにより、充分な実験が行えず、研究活動が遅延した。次年度は、本年度行えなかった実験を行う予定である。
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