2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K20053
|
Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
荒木 良子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 放射線障害治療研究部, チームリーダー(定常) (40392211)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
Keywords | DNA損傷 / 全ゲノムシーケンシング / INDEL / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに我々は、iPS細胞の点突然変異の解析のため、全ゲノムシーケンシングのスタンダードとなっている、イルミナ社のショートリードシーケンシング(HiseqX, 151bp-paired end, 1サンプルあたり90Gb以上)を実施してきた。今回、X線により高い頻度で形成されることが予想されるdeletionを定量解析のターゲットにするため、上記データを用いたinsertion/deletion (INDEL)の検出、スクリーニング、そして検証を試みた。ショートリードシーケンスを用いたINDEL解析では、想定する塩基長によって異なるプログラムを用いる必要がある。つまり、1塩基置換であるSNVと異なり、1種類のソフトウエア、あるいは条件で網羅的に検出できるソフトウエアは存在しない。また、それぞれ検出した結果は、偽陽性を多く含むため、細胞間の変異の定量的比較のためには、それら偽陽性を除くスクリーニングシステムの構築が本解析成功の鍵と考えられた。まず、CLC genomics workbenchを用いて、検出効率が比較的高いことが知られている100bp以下のINDELの検出の条件検討を行った。iPS細胞株の解析において、親体細胞、および、同じ親体細胞から樹立した姉妹株を比較することにより、効率よく偽陽性を排除することが可能となった。更に、目視により、アラインメント異常による偽陽性の排除を行った後、75カ所のサンガーシーケンシングを行った結果、全て正しく検出されていることが確認できた。目視確認によるアラインメント異常の排除のステップは、非常に労力がかかるが、目視に代わる手法は構築できていない。この手法を用いて、これまで樹立したiPS細胞におけるDNA損傷の結果生じるINDEL変異の詳細を解析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画通りに実験を進めることができているが、データ解析が手作業の部分が多く、時間がかかっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
データの解析を進め、論文化を目指す。
|
Causes of Carryover |
次世代シーケンス解析による放射線影響によるゲノム変異の検出に成功し、目標を達成しつつあるものの、H30年度は、手作業による部分で予定より遅れが出た。更なる実験により、より有用な情報が得られ、質の高い論文を作成することが可能と考えられたため、次年度まで延長した。結果の検証に必要な実験にかかる消耗品費等を計画している。
|