2017 Fiscal Year Research-status Report
DNAを封入したウイルス外套蛋白粒子を用いた培養困難なウイルスの浄水処理性評価
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17K20054
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松下 拓 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (30283401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白崎 伸隆 北海道大学, 工学研究院, 助教 (60604692)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 環境技術 / 土木環境システム / ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、臨床医学分野で開発が進む非ウイルスベクター作製技術を応用することにより、外来DNAを封入したウイルス外套タンパク粒子(DNA封入VLPs)を作製し、これを用いた室内浄水処理実験により、生体外での培養が困難な水系ヒト感染ウイルスの浄水処理性の評価を行おうとするものである。封入された外来DNAをポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)により定量することにより、これまでVLPsの定量法として用いられてきたイライザ法や免疫PCR法などの「タンパク」定量法からの脱却が可能となり、大幅な定量感度の向上が期待でき、これまでの実験法では評価できなかった実水環境中でのウイルス濃度に近い状況下での室内浄水処理実験が可能となる。 本年度は、その第一段階として、培養が容易な大腸菌ファージ(Qベータ)をモデルウイルスとして、内部に遺伝子を封入するためのウイルス粒子の分解・再合成方法を検討した。その結果、ジチオトレイトールの添加により粒子を構成するタンパク間のジスルフィド結合が還元により分断され、大腸菌ファージ粒子がバラバラに分解されることが分かった。また、その後に、塩化カルシウムを添加すると、いったんバラバラになったタンパクが再合成され、元の大腸菌ファージ粒子と同形状の粒子が形成されることを、電子顕微鏡により確認した。さらに、再合成時に模擬DNAとして金ナノ粒子を共存させると、大腸菌ファージ再形成時に金ナノ粒子が大腸菌ファージ粒子内に取り込まれることも分かった。すなわち、本手法を用いることにより、ウイルス粒子内に外来物質を組み込むことができる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、ウイルスの分解 → 再合成の手法を構築することに成功し、電子顕微鏡にて確認を行った。また、再合成時の外来物質の封入にも成功した。従って、現段階では、当初の計画通りおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、第一段階として、培養が容易な大腸菌ファージ(Qベータ)をモデルウイルスとして、内部に遺伝子を封入するためのウイルス粒子の分解・再合成方法を検討した。その結果、ジチオトレイトールと塩化カルシウムを用いることにより、大腸菌ファージ粒子の分解→再合成が可能であり、また、再合成時に外来物質(金ナノ粒子)を大腸菌ファージ粒子内に取り込ませることができることが分かった。次年度は、本年度に確立した手法を用い、本来の目的である、ノロウイルス外套タンパク粒子(VLPs)に対して外来DNAを封入し、DNA封入VLPsを作製することを目標とする。また、DNA封入VLPsが完成すれば、それを用いた室内浄水処理実験を行い、ノロウイルスの浄水処理性を実験的に調べる予定である。
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Causes of Carryover |
旅費として計上していた参加予定であった学会が、札幌開催となり、旅費が不要となったため。
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Research Products
(1 results)