2018 Fiscal Year Research-status Report
見えないものを見える化して保全する-環境DNAを用いた水草稀少種の生育状況の解明
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17K20056
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
牧 雅之 東北大学, 学術資源研究公開センター, 教授 (60263985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 伸二 人間環境大学, 人間環境学部, 准教授 (40228945)
森長 真一 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (80568262)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 在来種保全 / DNAバーコーディング |
Outline of Annual Research Achievements |
日本は淡水性の水生植物の多様性が高いが,相当の割合が沈水性であって,陸から目でその存在を確認することはできない.沈水植物には絶滅危惧種とされている種が多数含まれているが,従来の調査法では,偶発的な発見に頼るか大きな労力を払うかしなければ,沈水植物の調査を行うことは困難であった.本研究では,湖沼において,沈水植物の種判別を,採水サンプルに含まれる環境DNA解析とDNAバーコーディングによって行う手法を確立し,稀少沈水植物の生育状況を解明することを目的とする. 本年度は,水槽において人工的に栽培した水生植物を用いて,水槽から採取した水から,栽培した種のDNAを効率的に検出するための条件設定を行った.また,野外の湖沼から採取した水から,水生植物をバーコーディングするためには,ある程度の塩基配列長が必要となると考えられるため,プライマーの選定についても検討した. DNAバーコーディングに従来よく用いられてきたプライマーペアでは,水中で断片化が進んでいる植物の環境DNAを検出することは難しく,短い断片を増幅するものを選択せざるを得ない.一方,塩基配列長が短いと種判別に用いることが困難となる.状況によっては,単一のプライマーペアを用いるのではなく,複数のプライマーペアを用いて,塩基配列長を確保する必要があるように思われる.次年度は,本年度の成果をふまえて,自然湖沼から採取した水からの環境DNAを増幅し,DNAバーコーディングを行う手法を確立する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
想定していたよりも,環境DNAの検出を行う条件設定や増福領域の選定に苦慮した.
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Strategy for Future Research Activity |
実験状態での環境DNAの検出には目途がつき始めたので,さらに条件設定を緻密に行い,自然湖沼での採水への応用を効率よく進めたい.
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Causes of Carryover |
実験室内での条件設定に想定以上に時間がかかってしまったため,予定との食い違いが生じた.次年度は,自然湖沼での応用を進めるため,計上した予算が消費される見込みがある.
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