2017 Fiscal Year Research-status Report
Simultaneous achievement of toxic N-containing compounds removal and syngas recovery via catalytic reforming of product gas from gasfication of N-containing plastic wastes
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17K20057
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊谷 将吾 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (40757598)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 熱分解 / ポリウレタン / リサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、窒素含有廃プラスチックを、天然資源代替となる合成ガス(H2+CO)に転換すると同時に、HCNを始めとする有害窒素化合物を無害化する新規熱分解プロセスを開発することを目的とする。 その目標に向けて、平成29年度は、研究計画I「熱分解機構解明および熱分解反応制御による有害窒素化合物の発生抑制」を実施した。申請者の保有する二段型固定床反応装置およびタンデムμ-リアクターGC-MS(TR-GC/MS)を用いて熱分解試験を実施した。両手法ともに熱分解生成物の定性が可能であり、前者は更に熱分解生成物の収率算出、後者は更に熱分解生成物のその場分析が可能である。今年度は、触媒を使わず熱分解反応の解析およびTR-GC/MSの最適化を実施した。今年度は窒素含有プラスチックとして代表的なポリウレタンエラストマーを使用し、ウレタン結合の熱分解開裂メカニズムの検討、特に、これまで明らかとなっていなかった、熱分解反応選択性に及ぼすハード・ソフトセグメント含有量の影響を検討した。 その結果、ソフトセグメント含有量が多いポリウレタンエラストマーでは、4員環遷移状態を経由してウレタン結合が開裂し、ハードセグメント側がイソシアネート末端、ソフトセグメント側が水酸基末端を比較的選択的に生成することを明らかにした。一方、ソフトセグメント含有量の低下に伴い、ウレタン結合の開裂反応は6員環遷移状態を経由する反応に変化し、ハードセグメント側がアミン末端、ソフトセグメント側が不飽和結合末端を形成することが明らかとなった。よって、ランダム性が高いと思われていた熱分解反応においても、熱分解条件を制御することで反応選択性を高められる新たな可能性が見いだされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究計画「熱分解機構解明および熱分解反応制御による有害窒素化合物の発生抑制」において、窒素含有プラスチックとして代表的なポリウレタンを用いて、ウレタン結合開裂機構に及ぼす因子を検討し、反応選択性の発現機構が提案された。それより、熱分解反応を制御できる可能性が見いだされたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、窒素含有プラスチックとして代表的なポリウレタンの熱分解に焦点を当て、その熱分解機構のより詳細な解析を実施する。同時に、高温熱分解において生成するシアン化水素等の有害窒素化合物の無害化および合成ガス回収を可能とする触媒調製に取り掛かる。
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Causes of Carryover |
平成30年度の研究において物品購入に当初計画以上に費用がかかると想定されたため。
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