2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of a process for the removal and condensation of cesium from radiation contaminated soil
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17K20058
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉岡 敏明 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (30241532)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | セシウム / テトラフェニルホウ酸 / イオン会合体 / 抽出率 |
Outline of Annual Research Achievements |
フッ素化合物であるNaTFBの代わりにテトラフェニルホウ酸ナトリウム(NaTPB)を用い、使用削減傾向にある物質であるPFOA-に代わる代替イオン会合体を用いてCs-TPBのイオン会合体相への濃縮を検討した。代替イオン会合体は、水相中のカドミウムをBenzethonium ion(Ben+)とp-Phenolsulfonic ion(PS-)を用いたイオン会合体相への濃縮例を踏まえ、有機陽イオンとしてBen+を選択した。また、PS-はヒドロキシ基を持ち実験系が塩基性になるため不適とし、有機陰イオンとしてp-Toluenesulfonate(TS-)及び4-Ethylbenzenesulfonate(EBS-)を選択した。代替イオン会合体を用いたCs-TPBのイオン会合体相への濃縮について検討した。 TPB-量の増加とともにCs抽出率は増加した。初期水相モル比TS-/Ben+を変化させてもCs抽出率はほとんど変化しなかった。pHを変化させた結果、pH 7.0で最大Cs抽出率を示した。一方、有機イオン存在率はどの条件においてもほとんど変化なく、Ben+とTPB-はすべてイオン会合体相に存在していた。またTS-はほとんど水相に存在し、イオン会合体相中にはBen+のモル量と同等のTS-が含まれることから、イオン会合体相TS-Ben+の構成モル比TS-/Ben+=1が維持されていることが分かった。相分離後の静置時間経過とともにCs抽出率は減少したが、存在率の結果から、静置時間経過とともにCs抽出率が減少しても、TPB-はすべてイオン会合体相に存在していた。これから、静置時間経過により、一度イオン会合体相に抽出されたCs-TPBが静置時間経過とともに解離し、水相中にCs+を放出することが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、脱着したセシウムをイオン会合体相に濃縮することに成功したため
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Strategy for Future Research Activity |
フッ素化合物であるNaTFBの代替としてテトラフェニルホウ酸ナトリウム(NaTPB)を用い、様々な放射性Cs含有廃水中のTPB-による放射性Cs捕捉及びイオン会合体相への濃縮について検討する。また、放射性Cs含有廃水として福島第一原発所内の廃水は入手困難であるため、放射性Cs含有黒ボク土壌、植物、焼却灰から放射性Csを水相へ脱着または溶出させて作製したものを濃縮対象廃水として使用する。 放射性Cs含有土壌由来の廃水作製に当たり、土壌から水相へのCs脱着手段として、Csを強く吸着した粘土鉱物から、酸や熱によるCs脱着と異なり、温和な条件でかつ安価な物質による手法の検討が必要である。そこで、NaCl、KCl水溶液によるCs吸着ゼオライトからのCs脱着を検討する。ゼオライトとして、Cs吸着能が高いA型ゼオライトとモルデナイトを用いる。続いて、得られたCs脱着手法を用いて、放射性Cs含有黒ボク土壌から水相への放射性Cs脱着を検討し、その廃水中の放射性Csの捕捉およびイオン会合体相への濃縮を検討する。また、放射性Cs含有植物及び焼却灰は水中での撹拌による放射性Csの溶出を検討し、その廃水中の放射性Cs捕捉及びイオン会合体への濃縮について検討する。 具体的には、50 ml三角フラスコに、A型ゼオライトまたはモルデナイトを0.25 g加え、そこに25 mlの各濃度のCsCl溶液を加え、20 ℃、振盪速度150 rpmの条件で、4時間振盪させる。また、50 ml三角フラスコに、Cs吸着A型ゼオライトまたはモルデナイトを0.1 g加え、そこに10 mlのNaCl水溶液あるいはKCl水溶液を加え、30 ℃、振盪速度150 rpmの条件で濃度や振盪時間を変化させ、振盪させる。振盪後、三角フラスコ中の溶液をろ過して固液分離をし、ろ液中のCs濃度を原子吸光により測定する。
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Causes of Carryover |
2019年度において実施予定の土壌からの脱着試験に対して、消耗品が想定以上に必要となる見込みのため。
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Research Products
(1 results)