2019 Fiscal Year Annual Research Report
Challenges to innovative technology of transplanting mycoheterotrophic plants
Project/Area Number |
17K20059
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奈良 一秀 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (60270899)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 菌従属栄養植物 / 移植技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの植物は自身の光合成産物のみを利用して生きているが、一部の林床植物は必要な炭水化物の一部、または全てを根に共生する菌類から受け取っていることが明らかとなってきた。このような植物は菌従属栄養植物と呼ばれ、多くの希少種や絶滅危惧種が含まれる。このような植物は、開発計画に伴って移植が必要となる事例が多いものの、有効は移植技術が開発されておらず問題となっている。そこで本研究では、菌従属栄養植物の移植技術開発への扉を開くため、必要な学術知見を得ることを目的とする。 本年度は、過年度に移植したキンランとギンランの出芽状況の確認と炭素と窒素の安定同位体比分析を前年度に引き続き行った。その結果、一部の個体で炭素安定同位体比が増加傾向に転じたことが確認され、そうした個体は成長や開花の状況も良いことが判明した。一方、移植後に炭素安定同位体比が単調減少している個体は植物高や開花数も減少傾向にあることが判明した。このような結果は、安定同位体比の測定によって、菌根菌との関係の再構築を確認できること、移植の成否判断ができることを示唆している。また、キンランの生息する光環境と葉の形質や光合成特性・クロロフィル蛍光などについて測定を行なった結果、一定の開空度を越えると光阻害によって葉緑体の破壊や光合成活性の低下が起こることが判明した。また、その傾向は比較対象としたシランに比べてかなり低い光水準であることが判明した。その他のいくつかの希少ラン類についても共生菌の同定を行い、新規知見を得た。
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