2017 Fiscal Year Research-status Report
Realization of ultimate carbon nanotube-based separation membranes towards the solution of the water shortage facing humanity in 2025
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17K20065
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
林 靖彦 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (50314084)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 水処理用膜 / 二層カーボンナノチューブ / 熱化学気相成長法 / 構造ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
熱化学気相成長法(熱CVD)により,基板に垂直配向した長尺・高密度二層カーボンナノチューブ(DWCNT)アレーを高速で合成し,炭化水素高分子でコートし,DWCNTのチューブ空間を水流チャネルとする「水処理膜(分離膜)」を作製する. DWCNTのチューブ径を細径化するため,熱CVDで秒単位での基板温度および炭化水素ガスおよび不活性ガスの導入をコピュータで制御することで,DWCNTの合成に必要な触媒金属の直径と密度を制御することで実現した.透過型電子顕微鏡(TEM)の評価から,平均チューブ径の平均は約3.0-3.5nm程度,DWCNTの合成割合は70-80%で,DWCNTの選択合成技術を確立した.合成終了後の基板からDWCNTを取り除き,触媒金属の形状を評価したところ,基板温度を高速で昇温することで,粒子径と粒子間隔が均一な触媒金属ナノ粒子を形成していることが分かった.昇温レートを下げると,金属ナノ粒子が昇温中に動きナノ粒子間での融合が起こることから,チューブ径の細径化には昇温条件が重要になることを明らかにした. 長尺・高密度DWCNTアレーの水流チャネル間隙(CNT間もしくはCNTバンドル間)を埋設するため,本研究では有機半導体デバイスの封止材として用いられている,バリア性に優れているパリレン(ポリパラキシレン樹脂)を用いた.DWCNTアレーが高密度のため,パリレンを間隙に浸透させることが困難で,アレー表面に堆積する問題が明らかになった.このため,蒸気圧炭化水素材料の気化供給技術により,炭化水素重合積層反応コーティング技術を用いることでこの問題を解決し,DWCNTアレー・パリレン複合膜自立膜の作製に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度には,【研究1】超高密度・長尺で細径DWCNTアレー合成技術の開発,【研究2】炭化水素高分子によるDWCNT水流チャネル間隙埋設法の開発による水処理膜の実現を目標に研究を実施した. 【研究1】においては,熱CVDの温度制御により触媒金属ナノ粒子の形状を制御することが可能となり,従来4nm程度のチューブ径を本研究を通して3.0-3.5nm程度まで細径化することができた.最終目標の2nmへの見通しを立てることができた. 【研究2】において,バリア性に優れているパリレンを用いDWCNTアレーのCNT間隙を埋設する研究を実施したが,CNT間隙にパリレンを浸透させることができなかった.このため,蒸気圧炭化水素材料の気化供給技術により,炭化水素重合積層反応コーティング技術を開発し,これによりCNT間隙を埋設することに成功した.そして,基板からDWCNTアレー・パリレン複合膜を剥離し,自立膜にすることが可能となった.
以上の進捗状況を踏まえ,おおむね研究計画通りに進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,平成29年度実施した研究を継続する.そして,(1) DWCNTのチューブ径をさらに細径化する技術の開拓,(2) DWCNT中空部分のみに水を透過させる透過実験を実施し,膜表面圧力,流束,阻止率の基礎物性を明らかにし,(3) 微細な空間空隙における氷から水の構造・ダイナミクスを,高速電子線回折により解明する.
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Causes of Carryover |
DWCNTアレー・パリレン自立膜の作製手法を確立した.この両面を研磨し,DWCNTのチューブ空間を活用した分離膜の作製に成功した.平成29年度に「膜分離試験装置(精密耐圧力性能測定追加)」を設備備品費として計上したが,作製した自立膜の膜表面耐圧が当初予測したものより高いことがわかり,装置の仕様変更に時間を要し平成29年度中に導入が困難となった.このため,平成30年度へ繰り越し請求することとなった.
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[Presentation] Water flow through nanopores in large area double-walled carbon nanotube membranes2017
Author(s)
Y. Hayashi, H. Matsumoto, S. Tsuruoka, K. Abe, K. Hata, S. Zhang, Y. Saito, M. Aiba, T. Tokunaga, H. Inoue, T. Hayashi, T. Iijima, G. Amaratunga
Organizer
2017 MRS Fall Meeting & Exhibit - Materials Research Society
Int'l Joint Research