2017 Fiscal Year Research-status Report
草本系・木質系(落葉)バイオマス高度資源化プロセス
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17K20073
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
久保 幹 立命館大学, 生命科学部, 教授 (60249795)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 草本 / 木質 / 糸状菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
木質および草本を用いた熱溶菌糸状菌(Fusarium sp. 72-1)の培養を行い、グルコース生産を行うため、木質(落葉)と草本の含有成分の分析を行った。草本と木質を合計60種類用い、それぞれの有機資材品質評価(OQI)分析を実施した。その結果、草本に於いては、ほぼ一定のTCおよびTKを含んでいたが、TNは植物種によって大きく異なっていた。また、TPに関してはほぼ全植物種ともに低い傾向にあった。木質(落葉)に於いても、草本とほぼ同じ傾向にあった。また、滋賀県内の違う地点での同一種の木質(落葉)の分析結果も同様であり、TPが少ないことが明らかとなった。 一方、熱溶菌糸状菌の最適生育条件を明らかにするため、総炭素量(TC)、総窒素量(TN)、総リン量(TP)、および総カリウム量(TK)等の最適値を求めた。その結果、熱溶菌糸状菌が要求する最適なTC、TN、TP、およびTK値が明らかになり、生育温度や含水率等も含め、最適生育条件を決定した。 木質および草本を余剰バイオマスとして熱溶菌糸状菌を生育させるためには、リン成分の供給が不可欠である。余剰バイオマスでリン成分を豊富に含んでいるものを検索したところ、米糠が豊富なリンを含んでいた(約5%)。今後、木質および草本において、リン成分を豊富に含むバイオマスの探索が必要であることが明らかとなった。 「余剰バイオマス」→「熱溶菌糸状菌への変換」→「グルコース生成」→「エタノール」のマスバランス(炭素収支)解析を行ったところ、小麦ふすま+米糠を使用した場合、6.8%の変換率を示した。その時のエタノール濃度は、10.7ml/リットルであった。熱溶菌糸状菌の生育可能なバイオマス探索手法を確立するため、発酵熱を利用した評価系を構築した。その結果、大豆かす、菜種油カス、稲わら、竹等が高い発酵熱を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従い研究が遂行できた。 ●草本、木質(落葉)の分析が終了し、それぞれの特徴を明らかにした。 ●熱溶菌糸状菌の総炭素量(TC)、総窒素量(TN)、総リン量(TP)、および総カリウム量(TK)等の最適値を決定した。 ●熱溶菌糸状菌を用い、余剰バイオマスからエタノール生産まで、一連の炭素収支を明らかにした。 ●熱溶菌糸状菌の利用可能バイオマスを選択するため、熱溶菌糸状菌の発酵熱に着目し、熱溶菌糸状菌に適したバイオマスを選定する手法を開発した。 上記の理由により、当初の計画通り、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、下記の研究を推進する。 ●土壌環境を含む自然環境中での糸状菌定量方法を確立する。 ●草本および木質バイオマスを用い、熱溶菌糸状菌に適切な総炭素量(TC)、総窒素量(TN)、総リン量(TP)、および総カリウム量(TK)にブレンドしたバイオマスを用いた熱溶菌糸状菌の固体培養を行う。糸状菌数をカウントしながら、最適なブレンドバイオマスを作製する。 ●最適ブレンドバイオマスを用いた一連の炭素収支を明らかにする。
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Causes of Carryover |
実験で使用する試薬および消耗品の使用を計画している。また、学会発表の旅費を計画している。
使用を予定していた試薬や消耗品が次年度多く必要になったため。
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