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2020 Fiscal Year Research-status Report

形質介在効果の害虫防除への応用:捕食者存在下でなぜ害虫の作物被害は減少するのか?

Research Project

Project/Area Number 17K20074
Research InstitutionNational Agriculture and Food Research Organization

Principal Investigator

馬場 友希  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 上級研究員 (70629055)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 坂本 洋典  国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 研究員 (70573624)
Project Period (FY) 2017-06-30 – 2022-03-31
Keywords形質介在効果 / 化学分析 / クモ糸
Outline of Annual Research Achievements

本年度は昨年度の進捗の遅れを受けて、植食性昆虫のクモおよびクモ糸に対する忌避行動を調べるための室内実験を行うと共に、その実験結果を基に化学分析により植食性昆虫の忌避行動を誘発するクモ糸由来の化学因子の特定を行う予定であった。
しかしながら、コロナ禍によりクモや植食性昆虫を収集するための野外調査が困難となり、さらに出勤制限により実験室を使用できる機会も限られたため、研究活動が滞った。それに伴い、本課題に関連した学会発表や研究論文の作成なども行う事が困難となった。そのため、昨年度までに野外調査で得た標本の整理や文献情報の整理・レビューなどを主に行った。
レビューの結果、クモの糸の化学組成に関するいくつかの新知見を得ることができた。それらの文献によれば、クモ糸には種特異的な化学物質が見られると共に、クモにはその微妙な化学物質の組成の違いを認知する仕組みが備わっていることが明らかにされていた。その化学物質として、12,20-dimethylnonacosyl methyl ether、8,14,20-trimethylnonacosyl methyl ether、6,14,20-trimethylnonacosyl methyl ether、14,20-dimethylnonacosyl methyl ether(D)などのメチルエーテル類が重要な役割を果たしている可能性がある。これらの物質を害虫に提示し、行動の反応を観察する事で、害虫によるクモ糸の知覚能力を検証する事が可能と考えられる。またレビューで得たバイオアッセイの手法に関する知見は次年度の化学分析を行う際に有用だと考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

コロナ禍により野外においてクモや植食性昆虫を採集するための出張が困難となり、さらに出勤制限により研究室を訪問する機会も限られてしまった。そのため研究活動自体が制限されてしまい、進捗に大幅な遅れが生じた。

Strategy for Future Research Activity

昨年度のクモ糸の化学物質に関する研究のレビューを実施したところ、クモの糸の化学物質に関する新たな知見を得ることができた。それらの研究によると、クモ糸には種特異的な化学物質(メチルエーテル類)が存在し、クモにはそれらの化学物質の違いを介して同種/他種を認知する仕組みが備わっていることが初めて明らかにされていた。これらのレビューで得た知見は害虫によるクモ糸の忌避反応を調べるための実験およびバイオアッセイを実施する上で大いに参考になる。これまで想定していた実験設定を見直し、より効率的に実験を進めることによって、昨年度までの研究の遅れを取り戻す予定である。

Causes of Carryover

コロナ禍により、当初予定していた実験材料の野外サンプリングおよび室内実験が行えなかったため、野外調査及び実験、化学分析に計上していた支出がなくなり、次年度使用額が生じた。それらの予算は、昨年度実施できなかった野外調査、室内実験、化学分析などに使用予定である。

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Published: 2021-12-27  

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