2019 Fiscal Year Research-status Report
3次元培養幹細胞由来の細胞外小胞体を用いた疾患治療因子の探索
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17K20086
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
内田 智士 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (20710726)
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| Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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| Keywords | 細胞外小胞 / スフェロイド / 3次元培養 / 間葉系幹細胞 / 炎症 / miRNA |
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| Outline of Annual Research Achievements |
間葉系幹細胞(MSC)は、抗炎症作用、創傷治癒作用などから再生医療分野で注目されている。その治療メカニズムにおいて、分泌型因子の重要性が示唆されており、中でも近年MSCが分泌する細胞外小胞(EV)が、優れた治療機能を示すことが明らかとなってきている。本研究では、MSCをスフェロイドとして3次元培養することで、治療機能が向上することに着目し、MSCスフェロイドが分泌するEVの解析を行ってきた。これまでに、miRNAアレイより、MSCスフェロイドが、単層培養MSCが分泌していないようなmiRNAを分泌していることを見出していた。本年度、そのようなmiRNAを、リポ多糖により炎症を惹起したマクロファージ由来細胞に導入したところ、抗炎症作用を誘導することができた。このようにEVを解析することで、優れた治療因子を単離することに成功した。このようなmiRNAは、細胞移植の代替になり、経済的に高価な細胞移植治療を将来的に核酸医薬で置き換える可能性を持つ。
このような研究を進める中で、スフェロイドの大きさや、コントロールとなる単層培養の培養密度といった実験条件がEV産生過程に影響していることに気が付いた。そこで、この点を体系的に検討した。すると、単層培養の密度を高くすることで、細胞あたりのEV分泌量が低下すること、一方でスフェロイドも大きくすることでEV分泌量が低下するもののその影響は軽微であることが明らかとなった。また、EVの大きさは培養条件にあまり影響されなかった。このような培養条件とEVの関係を調べた報告はほとんどなく、EV自体を治療に用いる研究分野において重要な知見となる。さらに、研究の中で、スフェロイド由来EVが、抗がん剤の作用を増強するといった予想外の知見を得ている。薬剤耐性がん治療に貢献できる可能性がある。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、MSCスフェロイド由来EVを単離し、優れた治療因子を単離することを目的としている。上述のように、miRNAアレイを用いて優れた治療因子を単離し、その機能を実証することができたため、当初の目標は十分に達成できたと言える。また、得られたmiRNAを用いて治療を行う場合、標的組織、細胞に対して、安全かつ効果的にRNAを送達するシステムを構築する必要がある。この点に関して、様々な新規システムの構築に成功している。これらの成果は、経済的に高価な細胞移植治療を将来的に核酸医薬で置き換える上での礎となる。
一方で、研究で得られた結果から派生して、様々な予想外の成果が生まれている。上述のように、スフェロイドや単層培養MSCの培養条件の違いが、EV産生に大きく影響することを見出したほか、スフェロイド由来EVが、抗がん剤の作用を増強するといった知見を得ている。EVを治療に用いる研究や、がん治療研究といった幅広い分野にインパクトを持つ知見である。以上のように、当初の目的を十分に達成した上で、予想を超える発見も得ている。
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究で、優れたmiRNAが得られ、さらにその送達システムも構築されたことから、今後それらを組み合わせ、治療応用へ展開する。また、スフェロイドや単層培養MSCの培養条件によるEV産生量、機能への影響や、EVの抗がん材の作用増強といった派生的な成果に関しては、より体系的に研究し、詳細を明らかにする。以上を研究を推進するとともに、得られた成果の発表にも注力する。
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| Causes of Carryover |
本研究に関する論文投稿を予定している。概ね結果は揃っているものの、追加実験を行うことで、より良い論文とし、
研究の成果をより良い形で発信するため。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Single-stranded DNA-packaged polyplex micelle as adeno-associated-virus-inspired compact vector to systemically target stroma-rich pancreatic cancer.2019
Author(s)
T. A. Tockary, W. Foo, A. Dirisala, Q. Chen, S. Uchida, S. Osawa, Y. Mochida, X. Liu, H. Kinoh, H. Cabral, K. Osada, K. Kataoka
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Journal Title
ACS Nano
Volume: 13
Pages: 12732-12742
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] In vivo rendezvous of small nucleic acid drugs with charge-matched block catiomers to target cancer.2019
Author(s)
S. Watanabe, K. Hayashi, K. Toh, H. J. Kim, X. Liu, H. Chaya, S. Fukushima, K. Katsushima, Y. Kondo, S. Uchida, S. Ogura, T. Nomoto, H. Takemoto, H. Cabral, H. Kinoh, H. Tanaka, M. R. Kano, Y. Matsumoto, H. Fukuhara, S. Uchida, M. Nangaku, K. Osada, N. Nishiyama, K. Miyata, K. Kataoka
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Journal Title
Nat. Commun.
Volume: 10
Pages: 1894
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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