2017 Fiscal Year Research-status Report
ウイルス様粒子を新規材料とした膜タンパク質結合RNAアプタマー創製法の開発
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17K20087
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 理貴 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (00549529)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | RNAアプタマー / ウイルス様粒子 / 膜タンパク質 / GPCR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、細胞膜に深く埋没する膜タンパク質の生理的構造を維持する支持媒体としてウイルス様粒子が優れている点に着目し、これを新規材料とした膜タンパク質に対する汎用的なRNAアプタマー創製技術基盤の構築を目的とする。開始年度となる本年度は、創薬標的として注目される数種のGタンパク質共役型受容体(GPCR)(EP4、ETB、A2a、P2Y2)を発現するウイルス様粒子の作製と発現レベルの確認を行った。その結果、標的GPCRを過剰発現させた細胞の抽出液と比較し、ウイルス様粒子の方が、遥かに高い効率で標的タンパク質を高発現・濃縮できていることが確認できた。ウイルス様粒子はアプタマー選抜材料として、細胞やリコンビナントタンパク質よりも生理的構造の維持や操作性の点において優れていることを確認し、その生産技術を確立することが出来た。また、これを材料にアプタマーのセレクションを実施した結果、通常のリコンビナントタンパク質を材料に実施するセレクションと同様、約7回程度の選抜と増幅作業の繰り返しによってライブラリを濃縮できる事が分かった。現在、濃縮したライブラリをハイスループットシーケンサーで解析を終え、候補となる配列をSPR解析法による結合性評価を開始している。また同時に、各標的GPCRに合致したアッセイ系(cAMPやカルシウム濃度測定系)の確立を終え、培養細胞を用いた機能阻害効果の検証実験も開始できる状況にある。このように本年度は、目標達成のための技術基盤の構築と十分な予備知見を得ることが出来ており、当初の計画通りに進行できたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた、ウイルス様粒子の安定な生産技術、それを材料としたアプタマーライブラリの濃縮技術、結合を評価するためのSPR解析法、培養細胞を用いた機能阻害効果評価系の全てにおいて技術構築が完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に構築した種々の技術の再評価を行いつつ、標的膜タンパク質に結合する分子の取得を目指す。また、現行の標的GPCRでは、アプタマー取得が困難であった場合は、外部ドメインが大きなクラスCのGPCRやインテグリンなどの細胞接着タンパク質群を標的としたセレクションも実施・検討する。これらの取り組みによって、ウイルス様粒子の特性を活用した、生理的構造を持つ膜タンパク質に結合する分子の創製技術基盤の構築を目指す。
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Research Products
(1 results)