2017 Fiscal Year Research-status Report
近接場光誘起アクティブ造影制御による超解像MRI技術の開発
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17K20091
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八井 崇 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (80505248)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 近接場光 / MRI / アクティブ造影 / 磁場増強 |
Outline of Annual Research Achievements |
近接場光は、光が照射された物質の表面近くに局在する電磁場であり、この性質を利用すると光の回折限界を超えた高分解能光学顕微鏡が実現する。提案者は、空間的非一様性が非常に大きい近接場光によって局所的な磁気モーメント(ナノ磁石)が生成されることを明らかにしている。本研究では、近接場光誘起の磁気モーメントを核磁気共鳴画像法(MRI)に活用したアクティブ制御超解像MRIの実現を目的とする。従来のMRIでは明瞭な画像を得るために造影剤が利用される。造影剤には磁性材料が用いられているが、近接場光(ナノ磁石)を利用することで非磁性材料も造影剤としての役割を果たすことになる。近接場光は、外部から照射する光によって誘起される、つまり磁石として性質が光照射時のみで発生するため、光照射のオン・オフで造影効果がアクティブに制御可能となる。従来の不可逆的な操作であった造影の考え方を覆し、造影・非造影のMRIを交互に実施して継時的な変化を追跡する新たなMRI診断技術の実現が期待される。 今年度は近接場光誘起による効果を確認するために、近接場発生用の微細構造の作製し、これをMRI装置内に配置することで、MRI画像としてどのような変化が現れるのかを確認した。その結果、近接場光が発生した場合に画像に変化が発生することを確認した。また、シミュレーションにより、近接場光誘起の磁場発生増強効果が得られる構造を明らかにし、最大2桁程度の増強効果が得られることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究実績の概要】に記載の通り、近接場光誘起によってMRI画像に影響を与えられることを実証しており、計画通りに進んでいる。一方、計算で得られた磁場増強構造が大きいため、MRI装置内に設置することができず、磁場増強の効果が最大限に発揮できていなのが現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
使用するMRI装置の大きさを鑑みて、近接場光誘起の磁場増強効果が最大となる最適構造をシミュレーションにより明らかにする。得られた最適構造を作製し、これをMRI装置内に配置することで、最適な造影効果が得られる、条件を明らかにする。具体的には、従来の撮影であるスピンエコーのパラメータを測定対象である、プロトンに最適化した状態で、近接場光を誘起するパラメータ(周波数、印加時間、間隔、照射方向など)を最適化し、最大の造影効果と高分解能化を目指す。
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Causes of Carryover |
【現在までの進捗状況】に記載の通り、MRI装置内に設置可能な構造体の最適化が完了することができず、そのために支出を予定して構造体の試作費用を計上することができなかった。今後早急に、最適構造を明らかにし、それを実証するための構造体の試作費の使用を予定している。また、成果をより広く周知するために発表する学術論文誌についてオープンアクセスのための経費を予定している。
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