2019 Fiscal Year Annual Research Report
Spatiotemporal control of physical stimuli in spontaneously formed intracellular mechanical fields
Project/Area Number |
17K20093
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古川 克子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (90343144)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 内部応力 / 外部刺激 / 3次元造形 / 物理刺激負荷デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞外マトリックス様の格子構造を作製して間葉系幹細胞を播種して培養したところ,特定の寸法を有する構造の上で,間葉系幹細胞の骨芽細胞様細胞への分化が誘導されることがわかった.このメカニズムを解明するために,細胞内の応力を抑制する薬剤処理を行ったところ,細胞が接しているマイクロ構造の細胞の分化が抑制されることがわかった.このことは,静的な培養環境でも,細胞が接している基盤の構造を制御することにより,細胞内応力をコントロールすることができることを意味していると推察された. さらに,細胞外部のマイクロ基盤上に間葉系幹細胞を播種し,外部から引張刺激を負荷できる装置を開発した.開発した装置は,本造形で作製した基盤の構造をPDMS膜に転写した膜を装置にセットできる仕様を有する.凹凸構造を有するPDMS膜に播種した細胞に引張応力を加えて培養した結果,格子様の構造を有する基盤上の間葉系幹細胞はさらに高い骨芽細胞様のマトリックスの産生能力を保有することが示された. 生体内での細胞はコラーゲンファイバーなどの細胞外マトリックスの上に接着して存在している.本研究ではこれらの状況をミミックしうる構造を作製することにより細胞内部の応力状態をコントロールした.そのうえで,細胞外部から物理刺激を負荷することにより,さらに間葉系幹細胞の分化の促進効果があることを見出した.本研究で得られた知見は生体内における疾患発症や恒常性維持の観点で重要な発見となりうることが期待されるだけでなく,再生医療への貢献が高く期待される成果であったと考えている.
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