2017 Fiscal Year Research-status Report
データ駆動的バイオマテリアル設計ストラテジーの開発
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17K20095
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
林 智広 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (30401574)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | マテリアルズインフォマティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では材料と細胞・組織の界面の分子プロセスの包括的な理解、その理解に基づく明確な材料設計の実現のために、申請者独自のバイオ界面の解析とビッグデータの統計解析を融合的に行った。 構造が単純である単分子膜の系を用いて、本研究の基盤技術である材料表面に形成される、細胞の足場となるタンパク質層の網羅的解析(タンパク質の同定・組成分析、構造変化解析)、および細胞接着サイトの2次元分布のナノスケール分解能での可視化、機械学習を用いた材料の化学特性と細胞応答との相関解析技術を確立する。また、機械学習結果が提示する未知の単分子膜を作製し、細胞応答を確認することで、本手法の有効性の確認を行った。 また、血液との接触を模した、血清または血漿への浸漬によって固体表面上に吸着したタンパク質を基板上にて直接酵素分解し、質量分析器(MALDI ToF Mass)で測定した。申請者の独自のタンパク質同定解析アルゴリズムによって、足場タンパク質中の細胞接着に関与する主要なタンパク質(fibronectin, vitronectinなど)のモル比率を求め、このデータを水晶振動子マイクロバランス法(QCM-D) [吸着量、粘弾性(構造変化)]、表面増強赤外分光法(吸着量、構造変化)の結果と組み合わせることで、材料上の足場タンパク質の組成・構造変化に関する知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ここでは細胞接着試験のモデル表面として広く用いられてきた自己組織化単分子膜を用いて、研究提案書の当該年度の下記の目標を達成した。 材料の化学的パラメータ(元素組成、化学構造、分極率、原子数、集積密度、濡れ性など)と細胞接着結果(接着密度、接着面積、接着形状など)の相関解析を行う。申請者は、単分子膜の化学特性とフィブリノーゲンの吸着量の相関解析、各々の化学特性の重要性の定量化には人工ニューラルネットワークモデル(ANN)による機械学習が有効である事を示した。ここではこれを拡張し、細胞接着応答(接着密度、接着面積、接着形状)を出力情報として、過去の全約200報の論文データを基に機械学習を行い、相関解析・重要性解析を行った。 材料設計のためには、要求する細胞応答を誘起する単分子膜設計のために、同じデータベースを用い、求める化学特性を出力情報とするANNを構築し機械学習を行い、その相関関係を基に化学特性を算出する。この作業をそれぞれの化学特性について行うことで、未知の材料の設計(化学パラメータ)を決定することに成功した。 以上から概ね順調に進捗していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の技術を人工血管、ステントを想定した高分子・金属材料に応用する。特に血液適合性に重点を置き、機械特性、化学反応性などの特性を同時に発現するような材料設計手法の確立を目指す。過去の文献データ(5000報)を用いて相関解析を行う。これを基に実際に高分子・金属を合成し未知の高血液適合性材料の構築を試みる。
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Research Products
(35 results)