2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K20098
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田中 志信 金沢大学, 機械工学系, 教授 (40242218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野川 雅道 金沢大学, 機械工学系, 助教 (40292445)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 電子体温計 / 自動較正 / 低融点金属 / 金属ガリウム / 相転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
サーミスタの経年変化による計測精度低下の問題を解決するために,温度標準を内蔵したサーミスタ体温計の開発を目的とした.温度標準の具体的な方策として,低融点金属のガリウムに注目した.プロトタイプ作製のための基礎的検討として金属Gaをコーティングしたサーミスタを試作し,相転移温度確認などの基礎実験を行った. 液体Gaは大部分の金属を脆化させるうえに, 濡れ性が非常に高く取り扱いにくいという問題が有る.そこでこれを解決するために, ガラス被覆されたサーミスタ(NXFT15XH103FA2B050, (株)村田製作所)のヘッド部にGaをコーティングしさらにポリウレタンで保護する方法を独自に考案し, Ga封入サーミスタの具現化を可能にした.試作したサーミスタ横断面を光学顕微鏡により観察したところ、サーミスタの周りのGa層がポリウレタンの層でしっかりと封入されていることが確認された. そしてこの試作センサを用いて体温(腋窩温)を測ったところ,室温では固体であったGaは体温計測開始とともに温度上昇し,融点である29℃付近に達した時点で相転移に起因すると思われる平坦部が約30秒間観察され,その後センサ出力は体温と平衡するまで上昇した. 以上の結果から、本法原理の妥当性が確認されるとともに、較正機能内蔵サーミスタ体温計具現化の見通しを得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.市販サーミスタビーズ表面に金属ガリウムを担持可能な方法を新規に開発した. 2.当該方法により試作したプロトタイプセンサにより腋窩温計測を試みたところ、金属ガリウムの融点である29℃付近でセンサ出力がほぼ一定の状態が約30秒間続き、その後センサ出力は上昇し、体温付近で一定値となった。 3.上記結果から本法原理の妥当性が確認され、較正機能内蔵サーミスタ体温計の具現化の見通しが得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
今回開発したディップ法による金属ガリウム担持法では、担持させるガリウムの微妙な重量調整が困難であった。そこでこの問題を解決するため金属ガリウムのマイクロカプセル(MC)化を試みる。当該方法の基本的なレシピはB.J. Blaszikらの先行研究である「Ga-In合金のMC化」を参考に、金属Ga用に適宜改変を加える. 得られた金属Ga-MCを用いてプロトタイプセンサを試作し、前年度と同様の結果、すなわち27℃付近における温度平坦部の出現を確認すると共に、校正機能内蔵サーミスタ体温計のプロトタイプを試作し性能評価を行う。
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Causes of Carryover |
消耗品のうちで最も高価な金属ガリウムについて、その使用量が当初見積よりも低かったため。来年度の購入費用に廻す。
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Remarks |
下記発表が「平成29年度日本生体医工学会北陸支部大会 若手研究敢闘賞」に選奨された。 『較正機能内蔵サーミスタ体温計の開発』西村和也,野川雅道,内藤尚,根本鉄,戸川達男,田中志信
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Research Products
(2 results)