2017 Fiscal Year Research-status Report
Built-in type super-stable power supply for helium-free MRI magnet
Project/Area Number |
17K20106
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福山 秀直 京都大学, 大学院横断教育プログラム推進センター, 特任教授 (90181297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦山 慎一 京都大学, 大学院横断教育プログラム推進センター, 特定助教 (10270729)
上野 智弘 京都大学, 医学研究科, 助教 (10379034)
鈴木 崇士 京都大学, 大学院横断教育プログラム推進センター, 特定助教 (10572224)
松原 明 京都大学, 理学研究科, 准教授 (00229519)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | ヘリウムフリーMRI / 高温超伝導マグネット / 安定化電源 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘリウムを100%輸入に頼る日本ではヘリウムフリーMRI用超伝導マグネットの実現は重要な課題であるが、ごく僅かな電流減衰を補償するために非常に高価な超安定化直流外部電源が必要なる上、太いリード線からの熱侵入が冷凍機に負担をかけ、また冷凍機が止まると短時間の内に超伝導リードが焼損するなど、そのマグネットは致命的問題を抱える。本研究では、マグネット内部に大電流が収まるような、極低温・超高真空・高磁場に耐えうる外部電源システムの実現可能性を追求する。 本年度ではまず、電源として使用可能なシステムにどの様なものがあるかを調査した。その結果、過去にされた開発研究として、古くは90年代初頭にパワー素子を用いた超伝導マグネット内直流電源開発の試みがあり(Ise, T. et.al, 1991)、また90年代後半以降、フラックスポンプ(Oomen, MP., et al, 2005; Geng, J. 2017他)や熱電素子(Tosaka, T., 2008; 山田他, 2008)を用いた高温超伝導マグネット用電源開発研究が複数見つかった。またフラックスポンプ型電源には複数の種類があり、その多くは発生できる電圧は高いが安定性に欠けるマグネット励磁用に適したものであること、逆に熱電素子に関しては、電圧は低いが安定性には期待できる、励磁後の磁場レベル維持に有用であることが分かった。その他、文献には見当たらなかったが、光電素子の電源への応用にも検討したが、低温には耐えられる可能性はあるものの、大電流に対応するには現実的ではないことが判明した。 また、電源では最も重要なパワー素子であるN型MOSFETに関して、低温実験を行い、良好な結果を得た。具体的には、複数のMOSFET素子に大してテスト回路を作成し、液体窒素に浸けてその動作を確認、低温により素子が破壊されることはなく、少なくと
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験及び調査の結果、少なくとも液体窒素温度であれば、電源に必要な素子は多く見つかることが判明した。おそらくこれは、今後ますます主流となる電気自動車の開発のために高温に耐えうるパワー素子の開発が進み、逆に低温領域でも動作するようになったためと推測される。加えて、発熱を抑えるために素子の低抵抗化も進んでおり、予想していた以上に素子の選択肢は広いことが分かった。これは、研究開始前に最も懸念されていた、極低温で動作する素子が見つかるかどうか、という大きな問題がほぼ解決されたことを意味しており、研究は計画以上に順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画では、次年度には開発する電源の基本設計を行い、電源実現に向けた次期プロジェクトを計画立案する予定であったが、使用可能な素子が多く見つかりそうなこと、購入予定であったクライオスタットなどが他の研究期間から借りることができ、経費に余裕が出来たことから、今後、ヒトMRI用超電導マグネットへの利用を想定した簡易な電源システムを開発、小型超電導マグネットを用いた実験を試みる。 開発する電源としては、一般的な電磁誘導コイルによる発電とMOSFETを用いた超低抵抗整流回路を計画している。電磁誘導コイルによる発電は、ボルトレベルの大きな電圧が期待できるため、少なくとも励磁用には使用可能であると考えている。励磁終了後の磁場レベル維持に関しては、如何に本システムで高い磁場安定性を達成できるかが最も大きな研究課題となると予想している。 加えて、もし経費的にも時間的にも余力があるようなら、直流電流の安定性を充分に高めるための、磁場計測系の開発を試みる。一般的な超安定化電源では、フラックスゲート型の非接触高精度電流センサを用いて電流値を計測し、リアルタイムで電流値にフィードバックをかけるが、マグネット内電源の場合は、高磁場環境のためにフラックスゲート型電流センサが使用できない。そこで、電流値が磁場強度から推定可能なことに注目し、NMRプローブなどを用いて磁場強度を計測することにより、より高精度に電流値を推定することを試みる。
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Causes of Carryover |
(理由)本年度購入予定であったクライオスタットを、他の研究施設より無償で借りることが出来たため。 (使用計画)先に述べたように、計画が想定以上に順調に進んでいるため、本プロジェクト内で予定していなかった超電導マグネットを用いた電源開発実験を行う予定である。生じた次年度経費は、その新たな実験のために使用する予定である。
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