2017 Fiscal Year Research-status Report
模擬微小重力環境下での革新的細胞挙動観察技術の開発
Project/Area Number |
17K20107
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
境 慎司 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20359938)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
|
Keywords | 宇宙 / マイクロカプセル / 細胞培養 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
人類の宇宙空間での活動は、科学技術の進歩により拡大しつつある。そのような状況において、宇宙が生命にもたらす影響を解明・理解しておくことは不可欠であり、そのような知見は、生命の仕組みの多様さを解明することにもつながる。このようなことから、本研究では、既存の方法では不可能であった、模擬微少重力のもと、三次元的に細胞間相互作用が存在する培養環境下での細胞挙動の連続観察を可能とする技術の開発を目的としている。 平成29年度は、細胞を閉じ込める容器およびその固定法に関する検討を行った。当初の予定では、球状のマイクロカプセルを作製すること、また、そのマイクロカプセルの皮膜の透過性と透明性を維持したまま機械的強度を向上させることを実施することとしていた。また、このカプセルを固定するための固定具の開発も目的としていた。研究開始当初はこれらに取り組んだが、よりよいシステムを考える中で、ガラス基板上に、細胞を封じ込める半球状のドームを形成させ、このドームをはがれにくくすることで、当初予定したものよりも優れたものができるとのアイデアが浮かんだ。このため、それに関する検討を実施した。その結果、アルギン酸ナトリウム水溶液のカルシウムイオンとの接触によるゲル形成や、西洋わさび由来ペルオキシダーゼの酵素反応によるフェノール性水酸基導入高分子水溶液のゲル形成を利用することにより、細胞を生きたまま封入可能なドームの作製法の開発に成功した。また、それらをガラス基板に強固に固定するための方法の開発にも成功することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた方法(マイクロカプセル+独自の固定具)とは異なるものの、より容易に作製可能であるとともに、観察も容易になると予想される細胞封じ込め容器の開発に成功することができた。このため、おおむね順調に進展しているものとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
新たに開発した細胞封じ込め容器に内で、大腸菌およびヒト由来浮遊細胞の生存は確認することができている。今年度は、さらに複数の種類の細胞の増殖および、ゲルドームの最適化を行う。また、このドームの内部の細胞を疑似微少重力下で連続的に観察できるシステムの開発を行う。
|
Causes of Carryover |
疑似微少重力発生装置を購入予定であったが、複数検討したが適当なものを見つけることができなかった。このため、継続してその装置を探すもしくは、新たに自作を試みる。また、マイクロカプセル固定具の開発に関する費用として執行を計画していたものが、より優れた方法を見出したことから、支出する必要がなくなった。これらにより次年度使用額が生じた。なお、カプセル固定具の開発が不要となったことにより生じた差額については、平成30年度に、ドームを固定するガラス基板の固定や、ドームの高機能化など新たに生じる見当課題について使用予定である。
|