2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of self-illuminating nanosystems for autonomous functioning in the body
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17K20109
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岸村 顕広 九州大学, 工学研究院, 准教授 (70422326)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 生物発光 / ベシクル / ナノメディシン / 光応答性 / 薬物送達システム / 光源フリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生体外部からの光源を必要とせず、生体深部であっても光による操作が可能な新手法として生物発光酵素を利用した光駆動ナノシステムの開発を提案しており、ベシクル内部に生物発光酵素を封入しつつ、ベシクル自体に組み込んだ光応答性分子が発光酵素の放つ光をトリガとして効率的に機能を発揮するシステムの構築を目指している。 平成29年度は、主に以下について実施した。まず、発光酵素を封入したベシクルの作製に向けて、生物発光酵素としてATPを必要としないNanoLuc (分子量~19 kDa )と、ATPを必要とするホタルルシフェラーゼ(FLuc)を選択し、これを大腸菌により大量調製した。FLucの利用は当初計画にはなかったが、センシング能を兼ね備えた系の実証に有用と考え、展開を図ることにした。ベシクル粒径を生体内送達に有利な100 nm程度とし、NanoLuc、FLuc濃度を調節しつつ、酵素失活を招かない温和な手法で十分な量の発光酵素の封入を可能とする調整条件を探索し、生物発光機能をもつPICsomeの作製に成功した。次に、将来的にケージド基を導入するペプチドとして、アポトーシスを誘導可能なペプチド配列・WEWTに注目し、当該ペプチドを合成するとともに、PICsomeへの搭載について合成条件の検討を進めた。首尾よくWEWTを導入した。WEWT 導入PICsomeを得ることができたため、これを細胞に作用させ、その効果を判定する実験を開始した。現段階である種の細胞死の誘導が確認できており、引き続き作用機序の確認を進めているところである。また、PICsomeを構成するPIC膜内に残存するアミノ基は、PICsomeの細胞内移行能を司るが、このアミノ基の残存量を制御するメドも同時にたったため、膜内アミノ基にケージド化合物を導入しベシクルの光活性化試験を行うための下準備も同時に整えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終的に想定している目標に向けた要素技術の確立について、十分な進捗が見られた。 実際には、当初計画にある本研究目的の達成に向けて、『ケージドリガンドを用いた光活性化型ベシクルシステムの開発』として、1.発光酵素の大量調製、2.封入条件・封入量の最適化・最大化、3.酵素活性の確認、4. ベシクルの化学修飾法の確立、5. ベシクルの化学修飾と細胞取り込み能の相関評価、6. ベシクルへの光応答性部位の導入、7. 光応答性評価、8. 体内動態の評価、が必要である。『光トリガ放出系の構築』に関しては、9. 発光酵素及び機能分子を封入したリポソームの調製、10. 発光酵素及び機能分子を封入したPICsomeの調製、11. In vitro系での機能評価、などの項目を達成していく必要があるが、平成29年度は、1-5について主に実施を行い、十分な知見を得るとともに、動物実験の準備を始めたところである。以上より、概ね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね順調に進展していることから、研究計画に大きな変更はせず、前項で上げた11項目のうち平成29年度に未実施の内容について進めていく。特に、光応答性化合物のケージド化合物の合成を進め、機能性ペプチドのPIC膜への連結や、ベシクル内への格納を行う。引き続き調製実験の最適化を進め、in vito、in vivo実験を通じての性能・機能評価を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度末に計画していた化学合成の実験を平成30年度初めに行うこととしたため、使用した物品費が計画より少額となった。これについて、平成30年度早々に行うことを計画しており、経費の使用も適切に行いうるだけでなく、研究遂行上も支障をきたすことはまったくない。
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Research Products
(18 results)