2019 Fiscal Year Research-status Report
将来型宇宙輸送に向けた革新的スクラムジェットの熱空力解析と統合最適化
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17K20144
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小川 秀朗 九州大学, 工学研究院, 准教授 (30817565)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 宇宙輸送 / 流体力学 / 熱力学 / 最適化 / 機械学習 / 極超音速 / 超音速 / 水素燃焼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究を構成する数値解析・最適化・風洞実験・システム分析の4フェーズのうち、研究計画に従い、初年度である平成31年(令和元年)度に取り組み進捗した、数値解析および最適化について、研究実績の概要を記述する。 軸対称型スクラムジェットのインテークについて、予定通り、数値解析の計算格子の生成・格子感度分析を実施し、スクラムジェットによる加速上昇を想定した多設計点(高度・マッハ数)において多目的同時最適化を開始した。また本形態では、対称軸における特異点によりマッハディスクを伴う反射が発生するため、解適合格子を適用して非常に高精度の流れ場解析を行った。これらの研究で得られた結果をまとめた論文を2^<nd>International Conference on High Speed Vehicle Science & Technology学会(4月開催予定だったがCOVID-19の影響で9月に延期)で発表する予定をしている。さらに前者を進展させて多設計点同時最適化フレームワークを構築、結果を解析してAIAA(米国航空宇宙学会)学術誌への投稿を進め、また後者に関しても主要学術誌の1つActa Astronauticaへの投稿を完了し現在査読中で、さらに理論的な検証と風洞実験に向けて研究を進めている。また下流の燃焼器で超音速燃焼を行うための燃料噴射についても、3次元計算格子の生成を進め、多目的同時最適化への準備を整えている。 本研究は、複数の研究・学術機関と連携して行っており、数値解析および風洞実験に関しJAXA角田宇宙センター・東北大学・オーストラリア・カナダ・ロシア、最適化についてはJAXA宇宙科学研究所・ドイツ・韓国の研究者たちと共同して進めている。これらの機関と必要に応じて共同研究・交流協定(MOU)の手続きも進めて締結を完了し、次年度の研究に向けての議論と準備を進めるとともに、共同研究で得られた成果を主要学術誌・国際学会で発表してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は研究代表者が2019年4月に九州大学航空宇宙工学部門宇宙システム工学講座に着任すると同時に開始し、宇宙輸送システム工学研究室を立ち上げ、計算機リソースをはじめ研究環境の整備を進め、海外からの学術研究員1名と研究室に配属された学生たち(このうち海外からの博士課程学生1名、修士1名、学部4年生1名が当事業に直接関連する研究に従事)を指導しながら、海外において構築してきたフレームワークや共同研究のネットワークをベースに発展させて取り組んできた。また先述のように、国内や海外の研究・学術機関との連携も促進させ、共同研究で成果を生みつつ、JAXAやオーストラリアからの研究者を受け入れ、またこちらからもスクラムジェット研究開発の先駆的機関であるクイーンズランド大学や国内ではJAXA・東北大学へ訪問・派遣するなどして基盤の強化を推進してきた。 研究面では先述のようにインテーク関連の数値解析・最適化においては前述のように計画通りまたは期待以上の進展と成果が得られている一方で、燃料噴射の最適化は、複雑な3次元計算格子が必要で計算負荷も高く、設計変数による定義や計算格子の生成は着実に進んでいるものの、数値計算は開始できていないため、「おおむね順調に進展している」とした。並行して風洞試験に向けた準備も進めており、超音速風洞・超音速燃焼風洞における実験に向け、試運転と(長期間稼働していなかった高温加熱器を含む)実験設備の点検を行い、整備を進めている(高圧ポンプや流量計の不良が判明し、業者と連絡を取り予算申請中)。同時に、本スクラムジェットを2段目に用いた完全再使用宇宙輸送システムの開発に向け、JAXA角田宇宙センターと合意し、ラムジェット実験設備での試験に向けた調整も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目以降は、燃料噴射を含むさらに大規模な数値解析・多目的同時最適化ならびに高速風洞による検証実験の実施に向けた方策を進めるとともに、将来型宇宙輸送の実現に向けたシステム全体および軌道の検討と解析を行い、成立性の検証を推進する予定をしている。このためには、ソフト・ハード両面における数値計算環境のさらなる拡充が必要となり、これらのリソースを随時導入してフレームワークの増強を行う予定である。風洞試験に関しては、上述のように九州大学航空宇宙部門で有する実験設備の整備・修繕を進めるとともに、JAXA角田宇宙センターや東北大学流体科学研究所といった共同研究先における実験に向けた調整も相補完もしくは代替的方策として進めて行く予定をしている。 また、新たに修士課程・学部4年生が4名ずつ計8名(それぞれ1名ずつ外国人留学生)研究室に加わるため、本人の希望や適性に応じて当事業に関連する研究に従事させ、相乗効果を発揮できるよう研究指導を行う予定である。同時にオーストラリア・カナダ・ロシアとの共同研究者たちと主にインテーク・衝撃波関連の研究を進展し学術誌論文として成果をまとめ、研究者・留学生を受け入れて化学反応・機械学習における研究も進捗させる予定をしている。 (なお、上記の設備整備や国際共同研究は現在COVID-19の影響を受けており、状況次第で適宜方針の修正を行う)
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Causes of Carryover |
2019年4月1日に着任(前日にオーストラリアから永住帰国)と同時に本研究を開始したが、(前任の教授と准教授が3月に同時に退官・移籍したことに伴い)宇宙輸送システム工学研究室を計算機等のリソースの全くない状態から立ち上げる必要があり、まもなく学生の配属や講義等に伴う教務が開始となり、本研究へのエフォートが制約されたほか、雇用予定であった2人目の学術研究員の来日が諸事情により開始直前に難しくなり、人的リソースにおいても予期せぬ不足が生じた。実験に関しても上述のように設備に不具合が見つかり対応を進めているが、場合によっては、共同研究先での実験の実施に向けて予算を使用し、学術研究員の雇用についても、今後も好適な人材の募集を継続するが、COVID-19に関連した状況次第では、ハード・ソフトの整備に充てて研究を進展させ、計画通り目標の達成を目指す。 同様にCOVID-19の影響で中止となった国際学会出張の旅費も、状況を鑑み、最大の成果が得られるよう使用する。
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Research Products
(19 results)
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[Presentation] Multi-target rendezvous optimization for active debris removal via multi-fidelity approach2020
Author(s)
Brahmachary, S., Tokuda, A., Ogawa, H., Bang, J., Ahn, J., and Ueda, S.
Organizer
SICE International Symposium on Control Systems 2020
Int'l Joint Research
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[Presentation] Multi-Fidelity Optimisation of Multi-Target Rendezvous Problems by Using GPU Super-Parallelisation2019
Author(s)
Brahmachary, S., Tokuda, A., Ogawa, H., Bang, J., Ahn, J., and Ueda, S.
Organizer
11th Kyushu-University-KAIST Symposium on Aerospace Engineering
Int'l Joint Research