2018 Fiscal Year Research-status Report
CRISPRスクリーニングを用いたヒトiPS細胞の内胚葉系分化機構の解明
Project/Area Number |
17K20146
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
遊佐 宏介 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授
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Project Period (FY) |
2018 – 2020
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Keywords | ヒトiPS細胞 / CRISPRスクリーニング / 細胞分化 / 内胚葉 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト多能性幹細胞の分化は、一般にマウスの胚発生による知見に基づいてシグナル伝達系を操作することにより、分化誘導のためのプロトコールが作製されてきた。様々なヒトES/iPS細胞でこれらプロトコールに対する応答性が異なることが知られており、どの因子がその応答性を変えるのかは不明である。本研究は、この因子の同定を順遺伝学的手法、つまりCRISPRスクリーニングにより同定しようとするものである。スクリーニングの実施に先立ち、Cas9遺伝子の安定的発現細胞株の樹立、ゲノム編集効率の解析が必要であり、解析対象とした細胞株の半数においてCas9細胞の樹立を完了した。これには、分化後に遺伝子発現が抑制される問題を回避するため、複数の株のスクリーニングを実施する必要があり、適切にスクリーニングされれば、分化の間、比較的長期間に渡りCas9の発現が維持され、ゲノム編集効率もスクリーニング効率を保つために必要なレベルで発現を維持できることが明らかとなった。CRISPRスクリーニングを段階的に実施する準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
英国ケンブリッジ、サンガー研究所での研究遂行上の都合から、当初予定していた平成30年4月の英国ケンブリッジから京都大学ウイルス・再生医科学研究所への異動が延期となり、平成30年10月に京都大学に着任し、研究室の立ち上げを開始した。実験機材の選定、購入、設置は平成30年度中にほぼ完了することができたが、この異動時期の延期のため、当初、平成30年度に複数のスクリーニングを完了することを目指していたが、この計画にやや遅れが生じている。現在までに、計画していたCas9発現iPS細胞の作製と、CRISPR-Cas9のゲノム編集効率の解析を一部のiPS細胞株において完了し、今後、全ゲノムスクリーニングを実施する準備を整えた。膵β細胞への分化途中でのCas9遺伝子の発現低下は、プラスミドDNAのランダムインテグレーションにより取られた複数のCas9発現細胞をスクリーニングすることにより、目的の膵前駆細胞においても高いCRISPR-Cas9編集効率を示す細胞株を樹立しており、今後、スクリーニングを実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、Cas9発現発現細胞株の樹立できていないiPS細胞株に対して、Cas9ノックインを行い、すべてのiPS細胞株において安定的にCas9を発現する細胞株樹立を完了させる。その後、胚性内胚葉分化に影響を与える因子を同定するためCRISPRスクリーニングを、樹立した全てのiPS細胞株において実施、完了させる。膵前駆細胞から内分泌前駆細胞への分化に関わる因子の探索に関しても、CRISPRスクリーニングを実施し、その完了を目指す。両スクリーニングより分化に影響を与える因子が同定されれば、さらに分子機能の解析を進めていく候補を決め、最適な手法を用いて、その解明を進めていく。
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Causes of Carryover |
平成30年10月からの研究室の立ち上げに伴い、一年目に計画した研究の遂行に若干の遅れが生じており、一部の研究を二年目に実施する必要がある。そこで、一年目予定の使用額の一部を二年目に使用するものとした。二年目には、一年目分と合わせ、当初予定した研究計画を実施する予定である。
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Research Products
(4 results)