2020 Fiscal Year Annual Research Report
CRISPRスクリーニングを用いたヒトiPS細胞の内胚葉系分化機構の解明
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17K20146
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Principal Investigator |
遊佐 宏介 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授
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Project Period (FY) |
2018 – 2020
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Keywords | ヒトES細胞 / ヒトiPS細胞 / CRISPRスクリーニング / 多能性 / 未分化能 / 細胞分化 / 分化指向性 / 内胚葉 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト胚性幹(ES)細胞や人工多能性幹(iPS)細胞の分化誘導は、マウス胚発生より得られた知見に基づいて、主としてシグナル伝達系を制御することで達成され、分化プロトコールが作成されてきた。しかし、ヒトES/iPS細胞株には分化指向性があり、同一のプロトコールでは分化効率が株間で大きく異なる。目的の分化細胞を得るために株毎に分化プロトコールを最適化する必要があり、画一化された分化プロトコールを得ることは難しい。複数の患者由来iPS細胞株を用いてin vitro 病態モデルを作製する時など、分化効率の差は研究の大きな障壁となる。本研究では我々のグループが開発した順遺伝学的手法CRISPRスクリーニングを用いて未分化維持、分化、細胞株間の分化効率の差に関わる因子を同定し、その分子機構の解明また分化培養法への応用を目指した。 Cas9を発現するヒトES/iPS細胞を複数株樹立し、レンチウイルスベクターを用いてヒトゲノムワイドCRISPRライブラリーを導入、変異ES/iPS細胞集団を作製し、それぞれの表現型スクリーニングを行い、関与する遺伝子群を同定した。まず、未分化維持に関するスクリーニングでは、OCT4, SOX2, NANOG, PRDM14等の既知の遺伝子の他に、これまで報告のない遺伝子群を見出し、そのうち新規転写制御遺伝子に関しChIP-seq解析を行なった結果、OCT4との共局在が認められ、その標的遺伝子の転写制御に関わっている可能性が示唆され、更なる解析を実施している。また、分化に関しては、胚性内胚葉分化に着目したスクリーニングを実施し、分化を妨げる複数の因子を見出した。これらの因子を各々ノックアウトすると分化効率が改善することが確認できた。今後、これら因子の分子機構を解析するとともに、阻害剤を分化プロトコールに組み込み、分化効率の改善、また複数の株に適用できる画一化された胚性内胚葉分化プロトコールの開発を目指す。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Minimal genome-wide human CRISPR-Cas9 library.2021
Author(s)
Goncalves E, Thomas M, Behan FM, Picco G, Pacini C, Allen F, Vinceti A, Sharma M, Jackson DA, Price S, Beaver CM, Dovey O, Parry-Smith D, Iorio F, Parts L, Yusa K, Garnett MJ.
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Journal Title
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] KAT7 is a genetic vulnerability of acute myeloid leukemias driven by MLL rearrangements2021
Author(s)
Au YZ, Gu M, De Braekeleer E, Gozdecka M, Aspris D, Tarumoto Y, Cooper J, Yu J, Ong SH, Chen X, Tzelepis K, Huntly BJP, Vassiliou G, Yusa K.
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Journal Title
Leukemia
Volume: 35
Pages: 1012-1022
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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