2019 Fiscal Year Research-status Report
Risk acceptance and consensus building on British coastal realignment and seawall construction projects with coastal ecological infrastructures
Project/Area Number |
17KK0013
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
山下 博美 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 准教授 (90588881)
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Project Period (FY) |
2018 – 2020
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Keywords | 住民参加 / グリーンインフラ / リスク受容 / 防潮堤 / 英国 / 環境コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本事業の目的は、沿岸湿地再生と気候変動による海面上昇や洪水減災の複合目的を持つ生態系インフラストラクチャー事業で世界をリードする英国において実施されている内陸への防潮堤移動建設の事業者及び住民間のリスク受容と合意形成の過程を解明することである。沿岸環境開発・再生に関する住民の意思決定参画過程の鍵となる要素を、英国で行われた55全事業の文献調査と聞き取り、及び3つのケーススタディーを通じ明らかにする。当初の申請書では、5つのケーススタディーであったが、予算が申請よりも少なくなったこと、また、数を少なくすることによって、各ケースをより深くみることができるとの判断から、現在、研究設計の変更を行っている。本事業では、日本の国交省と環境省が合わさった業務を行う「環境食糧省・環境局(DEFRA/EA)に常勤している「コミュニケーション・オフィサー」にも注目し、その合意形成手法についても調整を行う。
2019年度は、研究計画の整理、及びイギリスへの渡航・資料収集を行った。 類似の研究を行った英国研究者との打ち合わせを行い、情報収集の壁やコンタクトをとるべき人や研究機関などについての助言を受けた。また、湿地再生に特化した研究者が集まる研究ワークショップに参加し、これまでの研究内容を発表した。韓国で行われた国際環境社会学会では、住民参加とリスク・コミュニケーションに関する発表を行い、論文を出版することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は交付申請が1月に行われたため、これまで実質1年2カ月弱の研究期間となっている。初年度からは日本にて英国メディア分析(地方・州・全英メディアにおける事業報告を可能な限り全て閲覧、意見衝突・合意事例や要素の下調べ)、地図再生開始を目標にしていた。全てのメディア分析などはできていないが、意見衝突があった事例や、合意事例の要素の下調べについては進んできている。今年度は、2020年度に渡英するための準備期間となった。事務的手続きや、受け入れ研究機関や担当者との打ち合わせなどを重点的に行い、準備は整ったため、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、資料と同時に、現場でのインタビューも含めて、以下の点を進める。
1)英国において住民との意見衝突により一時又は完全停止となった沿岸湿地再生・減災事業と、実施された全事業を網羅的に示した地図の作成(文献調査、及び、行政機関・研究所・コンサルタント・NGOからの聞き取り)、同時にリスク受容や合意形成過程の課題についても事業ごとにまとめる、2)3つのケーススタディーサイトを選択し、以下を考察する:2-①環境リスク・コミュニケーション実践、2-②合意形成過程に行われた会議内容分析、2-③政府・NGO担当者及び住民のフォーカスグループ・インタビュー、2-④簡易質問票調査、3)ケーススタディーで得られた分析を大学及び研究所セミナーで発表し、内容を精査する。
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Research Products
(3 results)