2020 Fiscal Year Research-status Report
Risk acceptance and consensus building on British coastal realignment and seawall construction projects with coastal ecological infrastructures
Project/Area Number |
17KK0013
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
山下 博美 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (90588881)
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Project Period (FY) |
2018 – 2021
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Keywords | 住民参加 / グリーンインフラ / リスク受容 / 防潮堤 / 英国 / 環境コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本事業の目的は、沿岸湿地再生と気候変動による海面上昇や洪水減災の複合目的を持つ生態系インフラストラクチャー事業で世界をリードする英国において実施されている内陸への防潮堤移動建設の事業者及び住民間のリスク受容と合意形成の過程を解明することである。沿岸環境開発・再生に関する住民の意思決定参画過程の鍵となる要素を、英国で行われた55全事業の文献調査と聞き取り、及び3つのケーススタディーを通じ明らかにする。
当初の申請書では、5つのケーススタディーであったが、予算が申請よりも少なくなったこと、また、数を少なくすることによって、各ケースをより深くみることができるとの判断から、現在、特に3つのサイトに焦点をあてて資料収集をしている。本事業では、日本の国交省と環境省が合わさった業務を行う「環境食料省・環境局(DEFRA/EA)に常勤している「コミュニケーション・オフィサー」にも注目し、その合意形成手法についても調整を行っている。
2020年度は、環境食料省・環境局から「塩生湿地再生ハンドブック」を共著する機会を頂き、塩生湿地の研究・実践活動に関わるイギリスの多くの関係者とオンラインではあるが出会うことができた。類似の研究を行った英国研究者との打ち合わせを行い、情報収集の壁やコンタクトをとるべき人や研究機関などについての助言を受けた。 ハンドブックは、2021年に出版予定であり、グラスゴーで行われる生物多様性条約会議でも活用されると伺っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は本来なら、英国へ渡英し、ケーススタディーサイトでの情報収集を行う予定であったが、今年度はじめのころから、英国ではコロナウイルス感染が全土に広がり、ロックダウン期が長く続いた。そのため、5月には日本に帰国し、外部講師にお願いをすることになっていた授業を、今年度は全て受け持つこととした。オンラインにて、共同研究者とは繋がってはいたが、イギリスの研究者も外に出られない、及び、移動をしてはいけない政策下での調査や研究活動に大きな戸惑いを見せている様子であり、情報収集のスピードも緩やかにならざるを得なかった。日本にて英国メディア分析(地方・州・全英メディアにおける事業報告を可能な限り全て閲覧、意見衝突・合意事例や要素の下調べ)を行った。全てのメディア分析などはできていないが、意見衝突があった事例や、合意形成の要素の下調べについては進んできている。2021年度は、渡英を視野にいれて、渡航手続きや、受け入れ研究機関側の担当者との打ち合わせなどを重点的に行う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、資料と同時に、現場でのインタビューも含めて、以下の点を進める。
1)英国において住民との意見衝突により一時、又は完全停止となった沿岸湿地再生・減災事業と、実施された全事業を網羅的に示した地図の作成(文献調査、及び、行政機関・研究所・コンサルタント・NGOからの聞き取り)、同時にリスク受容や合意形成過程の課題についても事業あるごとにまとめる。 2)3つのケーススタディーサイトを選択し、以下を考察する:2ー①環境リスク・コミュニケーション実践、2ー②合意形成過程に行われた会議内容分析、2ー③政府・NGO担当者及び住民のフォーカスグループ・インタビュー、2ー④簡易質問票調査、 3)ケーススタディーで得られた分析を大学、及び研究所セミナーで発表し、内容を精査する。 4)執筆・発表活動を精力的に行う。
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Research Products
(3 results)