2019 Fiscal Year Research-status Report
近現代イギリスにおける「人と動物の関係史」ー領域設定による総合的理解モデルの構築
Project/Area Number |
17KK0021
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
伊東 剛史 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (10611080)
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Project Period (FY) |
2018 – 2020
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Keywords | イギリス史 / 人と動物の関係史 / 感情史 / 文化史 / アニマル・スタディーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目にあたる2019年度は、ベルリンにあるマックス・プランク人間発達研究所感情史研究センターにおいて、本研究の方法論である感情史の研究成果を摂取する一方、ロンドン自然史博物館において新史料開拓を行った。前者の成果は、『エモーション・スタディーズ』掲載の論文にまとめられたほか、派生的な成果として感情史の代表的な入門書、B. H. Rosenwien and Riccardo Cristiani, What is the history of emotions (polity, 2018)の共訳企画を進めることができた(2020年度中に刊行予定)。後者の成果は『専修大学人文科学研究所月報』掲載の論文や、フンボルト博物館開催ワークショップでの研究報告へとまとめられた。また、両者に関わる成果としては、客員として滞在した感情史研究センター主催のコロキアムでの研究報告にまとめられた。また、昨年度中に研究発表に応募し採択された国際学会(International Society for the History, Philosophy and Social Studies of BiologyとInternational Society for Eighteenth-Century Studies)において、無事、報告を終えた。さらにこれらを契機のひとつとして、新たにマックス・プランク科学史研究所(ベルリン)や、フンボルト博物館の研究者との交流関係を構築することができ、それにより、フンボルト博物館においても新史料を発見することができた。その結果、19~20世紀転換期における、欧米諸国によるアジアでの動物資源の開拓と収集から野生動物保護への変容を、政策立案者の視点からだけでなく、動物収集や取引に従事していた人々の視点から明らかにする糸口が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2019年度は上記の感情史研究センターを拠点とし、研究に専念することができたことから、当初予定していた方法論の研究と新史料の開拓の両方に関して、予想以上の成果をあげることができた。さらに、ベルリンでアニマル・スタディーズに従事する研究者グループとの研究交流を始めることができたことから、フンボルト博物館が現在カタログ化を進めている書簡史料を調査する機会をもらい、そこで本研究プロジェクトにとっても重要な鍵となる新史料を発見することができた。また、フンボルト博物館主催のアニマル・スタディーズ・ワークショップについては、来年度に2回目の会合をもち、それを経て、国際共同研究として成果を刊行することになっている。このように国際共同研究の観点でも、新たな展開があり、計画以上の進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、まず新史料の分析に注力する。その後、プロジェクト全体の総括へと移行しつつ、本プロジェクトを通じて開拓された新たな国際研究ネットワークに基づく、次期プロジェクトの計画を立案する。
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Research Products
(16 results)