2019 Fiscal Year Research-status Report
文物考古資料による唐~宋オルドス地域の歴史的構造の研究
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17KK0026
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
村井 恭子 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (50569291)
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Project Period (FY) |
2018 – 2020
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Keywords | オルドス / 石刻史料 / 唐宋時代 / 遊牧民 / 東洋史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では主につぎの2点の問題を扱う。1)西安・北京を拠点として、とくに近年新たに発見された唐~宋代のオルドスに居住した遊牧民の活動に関する漢語史料(文献・石刻・文書)の現地調査・解読およびデータベース化による公表作業を行う。こうした素材を提供することによりとくに日本の学界の当該分野における停滞状況を解消することを目指す。2)これらの史料を利用し、7~12世紀のオルドス地域の具体的情況および当該地域を拠点とした遊牧勢力の実態を解明することを通じて、当該地域が担った歴史転換の構造について検討する。 まず、今年度は渡航に向けて訪問を希望する研究機関との連絡・協力要請を行った。とくに陝西省考古研究所の関係者に同省内における調査協力を要請し、快諾を得た。さらに、タングートに関係する石刻史料の拓本の調査・収集を積極的に行っている寧夏大学西夏学研究院との連絡も取れ、研究所訪問および研究協力について快諾を得た。遺跡調査については主として共同研究者の市来弘志氏とメールで相談しリストアップした。また、基課題の成果報告書に掲載した唐・五代党項・吐谷渾関係墓誌の出土状況を整理した文章について、さらに最新の情報・修正を加えて増補版として中国の査読付き学術誌に発表した。 勤務の都合上、本研究計画では2020年3月より1年間渡航し共同研究を実施することになっていたが、新型コロナウイルスの流行で渡航不可能となり、現在渡航延期の状態にある。共同研究者の一人、市来氏も現在日本に帰国しており、陝西師範大学からの帰還の指示を待っている状況である。現在、共同研究者の栄新江氏・市来氏とそれぞれ連携しつつ関連の情報を調査している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では2020年3月に渡航することになっており、受け入れ機関の北京大学との手続きもほぼ終え、渡航の準備は整っていた。しかし、中国における新型コロナウイルスの流行により、北京大学では新規の訪問研究者受け入れを停止し、所属する神戸大学からも中国への渡航が禁止され、渡航延期の状態になっている。さらに、共同研究者の一人である市来氏もいったん日本に帰国したのち西安に戻ることができていない状態にある。 中国側の渡航許可が出ればすぐに研究を行えるように中国側各研究機関とはメールにより連絡を取り合っている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの流行は現在日中両国で収束に向かっている。しかし渡航がいつ可能となるか、また中国国内での研究態勢がいつ回復するかわからないため、待機期間中に国内で可能な範囲で資料整理・目録作成などの作業を進める。渡航可能となる時期が大幅にずれる場合は、研究期間の延長も視野に入れて各研究機関に対し交渉を行う。 現地の研究者から得た情報では、また近年新出墓誌が発見され、研究も進められているという。国内待機期間においても可能な限り新しい情報の収集に努める。
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