2022 Fiscal Year Research-status Report
文物考古資料による唐~宋オルドス地域の歴史的構造の研究
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17KK0026
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
村井 恭子 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (50569291)
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Project Period (FY) |
2018 – 2023
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Keywords | オルドス / 石刻史料 / 唐宋時代 / 遊牧民 / 東洋史 |
Outline of Annual Research Achievements |
北京大学の受入れが再開し、10月末に渡航した。共同研究者の市来氏も1月渡航予定で共に現地を調査することにした。渡航後、栄新江教授と面談し、国内移動が難しいため、しばらく北京で活動することを提案され、これに従った。しかし感染者増加で大学が封鎖され、宿舎で電子資料を調査するのみとなった。1月、ゼロコロナ政策が撤廃されたが、今度は感染拡大で身動きがとれず、感染減少後は旧正月で帰省ラッシュとなり、外地調査は困難となった。 2月後半、陝西省調査を計画したが、市来氏が渡航できず単独で調査した。西安では新設の陝西省考古博物館・漢唐石刻芸術博物館などを調査した。陝西省の若手研究者の研究会を主催する西北大学裴成国副教授に会い、近況の聞き取りをした。また陝西省考古研究院王小蒙副院長に会い、近年の発掘状況の聞き取りをし、また楡林の新設博物館の調査にも協力してもらった。楡林への道中、塞門故城・宥州故城などを調査した。楡林では銀州故城と博物館・横山区博物館・古代石刻芸術博物館などを調査した。その後フフホトへ赴き、内蒙古博物院を参観した。 4月初、甘粛省・青海省を調査した。甘粛省博物館での調査後、武威へ赴いた。浙江大学馮培紅教授を通じ、涼州文化研究院の協力を得、吐谷渾慕容智墓と王族墓陵地を訪問した。また武威市博物館楊瑞館長に吐谷渾王族墓誌の状況を聞き取りし、現物も調査した。青海省では伏俟城遺跡・熱水吐蕃墓群を訪問した。 学内業務のため、期間を延長して寧夏などへ調査することは断念して4月末に帰国した。この期間に、石刻史料の解読において重要な示唆を与えてくれる北京大学鄧小南教授の「試談五代宋初“胡/漢”語境的消解」の翻訳と解説を発表した。また唐後半期の党項に関わる既出論文が中国の学界で何度か引用され、中国語化を要請されたため手直しと翻訳補助を行った(「河西与代北」『絲路文明』7、2022年、173-196)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
渡航の準備が煩瑣を極めていたため時間がかかり、研究の時間が十分にとれなかった。また本来1年の渡航を計画していたが、実際には半年しか渡航できなかった。しかもそのうちの3ヶ月間はゼロコロナ政策・感染拡大などの原因で十分な調査・研究を行うことができなかった。また共同研究者の状況も計画当初とは大きく変化し、栄新江教授は現在多忙を極め共同研究の時間が十分にとれなくなっており、市来氏はやむを得ない理由で中国渡航が延期を重ねて5月となり、結局今回の渡航期間中に間に合わず、すれ違いとなってしまった。 コロナの発生で渡航できなかった期間に中国国内の研究状況もまた大きく変化しており、研究内容の見直しが必要な部分も出てきていることが今回の渡航で判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
中国国内で関連石刻の資料集が複数刊行されたため、この状況を整理することが学界に裨益すると思われる。今後はこの整理を行っていく。またデータベースの作成については今回の渡航で実見できたものを中心に行い、全体像については詳細な目録を作成することで可視化できると思われる。今回の渡航で新たに関連の研究機関および研究者との連携が可能となったので、新しい情報を提供してもらえるよう、連絡を密にしていく。
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