2021 Fiscal Year Research-status Report
サンスクリット写本研究の国際的ネットワークの新構築-『楞伽経』を基盤として
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17KK0031
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
堀内 俊郎 東洋大学, 東洋学研究所, 客員研究員 (60600187)
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Project Period (FY) |
2018 – 2022
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Keywords | 『楞伽経』 / サンスクリット写本 / 大乗経典 / 翻訳文献 / 『般若心経』 |
Outline of Annual Research Achievements |
所期の目的に沿う形で『楞伽経』を基盤とした国際的なサンスクリット写本研究のネットワークの構築を継続している。ただ、コロナ禍のため今年度は海外共同研究者の研究機関に行って対面で共同研究を行うことができず、その点で研究は多少遅れているといわざるを得ない。しかしながら、海外共同研究者と連絡を取りつつ、『楞伽経』、『大乗荘厳経論』、『決定義経注』、『阿毘達磨集論』関連文献、『般若心経』注釈文献など、さまざまな文献について、主にサンスクリット写本に基づくテクストの読み直しを行い、着実な成果を上げた。 具体的には、3本の英語論文、1本の日本語論文、1回の国際会議での発表を行い、広く国際的に成果を問うことができた。オンラインで行われた「東方唯識学年会」では、『大乗荘厳経論釈』の翻訳問題について論じた。その成果は英語での論文として発表された。別の論文では『般若心経』注釈文献の吟味を行い、インド撰述とされる2つの文献はチベット撰述であることを論証した。さらにまた別の論文では写本に基づきつつ、『阿毘達磨集論』とその関連文献のテキストや術語の問題について論じた。他方、ヴィマラミトラによる『般若心経』注釈文献についても解読を継続した。玄奘訳で「菩提薩(土+垂)。依般若波羅蜜多故」とされる箇所のサンスクリットの読解には様々な議論があったのだが、ヴィマラミトラは菩薩を主語として理解していることを明らかにした。また、オンラインで何度か研究会を行い、成果を共有した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため今年度は現地に行って国際共同研究者と対面での共同研究を行うことができなかったため、進度はやや遅れていると言わざるを得ない。そのようななかでもオンラインなどを使用し、着実な成果を上げたと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は海外共同研究者のいる現地で国際研究集会が開催したい。そうでない場合も、オンラインによる国際会議を行いたい。いずれにせよ、サンスクリット写本を中心とした仏教文献の解読を国際的な連携のもとで行いたい。
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Research Products
(5 results)