2019 Fiscal Year Research-status Report
The Study of Urban Anonymity by Focusing on Henri Lefebvre and Situationist
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17KK0032
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
南後 由和 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任准教授 (10529712)
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Project Period (FY) |
2018 – 2020
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Keywords | アンリ・ルフェーヴル / シチュアシオニスト / 都市 / ひとり空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年4月~8月まで、UCLバートレットのAffiliate Academicとしてロンドンに滞在し、現代の都市論におけるアンリ・ルフェーヴルとシチュアシオニストの思想の受容と展開についての研究に従事した。 1. UCLバートレットのC.J.リム教授がこれまで進めてきた、建築のドローイングやマルチディシプリナリティに関する研究に対して、本研究課題では、学際性の概念をめぐるディシプリナリティ、インターディシプリナリティ、トランスディシプリナリティの違いを整理したうえで、コンスタントのニューバビロンに代表されるシチュアシオニストの都市をめぐる実践を、絵画を軸とした「トランスディシプリナリティ」という切り口から考察した。 2. UCLバートレットのベン・キャンプキン教授らが整理した「エンゲージド・アーバニズム」の事例において、ルフェーヴルやシチュアシオニストの思想が、どのように展開されているのかを分析した。同じくUCLバートレットのイアン・ボーデン教授による、ルフェーヴルの都市・空間論を援用した、スケートボーダーの身体経験の観察・記述や建築の転用に関する一連の研究に加え、「建築の社会学」へと連なる理論的潮流について文献収集と考察を進めた。 3. ルフェーヴルの空間論に関する研究の一環として、日本の都市の「ひとり空間」の固有性を明らかにするため、イギリスの孤独問題担当国務大臣の設置や若者・高齢者の孤独をめぐる政策の動向を踏まえ、ロンドンと東京の公園、広場、商業施設などにおける「ひとり空間」のあり方を比較した。東京に代表される日本の都市の「ひとり空間」の特徴については、カナダ建築センター(CCA)のインタビュー取材を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現代の都市論におけるルフェーヴルの思想の受容と展開についての研究に従事することを通じて、ルフェーヴルの空間論と「建築の社会学」の理論的研究を架橋する接点を見出すことができた。また都市の「ひとり空間」に関する研究として、イギリスに加え、カナダやアメリカなどの研究機関および研究者とのネットワークも広げることができた。 これらの理由により、「 (2) おおむね順調に進展している。」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
コンスタントのニューバビロンに代表されるシチュアシオニストの都市をめぐる実践が情報社会論の文脈において、どのように再解釈されているのかを明らかにするための研究を進める。新型コロナウイルス感染症拡大にともなう「ひとり空間」のあり方の国内外の変化を把握しながら、都市の「ひとり空間」についての比較研究の展開可能性を探る。
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Research Products
(5 results)