2022 Fiscal Year Research-status Report
The Study of Urban Anonymity by Focusing on Henri Lefebvre and Situationist
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17KK0032
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
南後 由和 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任准教授 (10529712)
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Project Period (FY) |
2018 – 2023
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Keywords | アンリ・ルフェーヴル / 都市 / 建築 / ひとり空間 / パンデミック / ニューバビロン |
Outline of Annual Research Achievements |
1.アンリ・ルフェーヴルの空間論に関する研究の一環として、日本の都市の「ひとり空間」についての研究を継続した。屋台を舞台とした『サザエさん』の四コマ漫画の表象分析を通じて、多くの単身者が暮らした江戸からの歴史的文脈、視線と間仕切りの関係、日本のお客様至上主義と「ひとり空間」との結びつきなどについて考察した。 日本と欧米をはじめとする諸都市の「ひとり空間」の比較研究として、ドイツ日本研究所での国際ワークショップ「パンデミック時代前後における親密圏」にて、「コロナ禍による日本の都市の〈ひとり空間〉の変容」と題した研究発表をし、パンデミックが単身者の生活に及ぼすグローバルかつローカルな影響について討議した。
2.シチュアシオニストのメンバーでもあったオランダ人芸術家コンスタントによる初期の主要テクストト"Manifest"(『reflex』no.1所収)、"Van samenwerking naar absolute eenheid van de plastische kunsten"(『Forum』vol.10, no.6所収)などの和訳をした。互いに交流のあったルフェーヴルとコンスタントの関係に着目し、空間化された表象の政治性を問うルフェーヴルの空間論を介した、コンスタントのプロジェクト「ニューバビロン」についての分析を行なった。これらの作業を通じて、基盤Cの研究課題「アンリ・ルフェーヴルとシチュアシオニストを軸とした建築の無名性に関する研究」の内容を発展させ、本研究課題に接続し、成果物としてまとめていく道筋を立てることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ルフェーヴルの空間論を軸とした理論的枠組みによる、コンスタントのニューバビロンおよびその現代的意義の考察を通じて、上述の基盤Cの研究課題の内容を発展させ、本研究課題に接続する道筋を立てることができた。しかし、ニューバビロンに関する一次資料にもとづく分析にはまだ時間を要するため、「(3)やや遅れている。」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
ニューバビロンのプロジェクトおよびその前後のコンスタントによる主要テキストの和訳と、同時期の図版の整理をしながら、ニューバビロンに関する一次資料にもとづく分析をまとめる。
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Research Products
(3 results)