2018 Fiscal Year Research-status Report
The Nature of Quakers' Decision-Making and Its Applied Possibility to Democracy
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17KK0035
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
中野 泰治 同志社大学, 神学部, 准教授 (80631895)
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Project Period (FY) |
2018 – 2020
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Keywords | クエーカー / 合意形成 / 社会形成 / 教会論(組織論) / 社会学的分析 / 政治学的分析 / 思想的分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、合意・社会形成の基盤理論としてのクエーカーの完全論に関する研究(基盤研究C:2016~2019年)を基課題として、英国バーミンガム大学を拠点に、同大学の名誉教授Ben Dandelion氏の協力の下に2020年3月から2021年2月にかけて行うものである。 本研究の課題は以下の四つである。(課題1)英米のクエーカー系の教育機関や図書館に保管されている議事録の収集および分析する、(課題2)ロンドン年会の会議に実際に参加し、また参加者へのインタビューに基づいた質的研究を行うことで、クエーカーの合議形式の特徴について明らかにする、(課題3)A.D.リンゼイによって源流とみなされたクエーカー式の合議形式が英米の民主制度においてどのように保持・運用されているかについて分析し、またクエーカー国連事務所(QUNO)の会議を事例としてクエーカー式の合議形式がどういった成果を生み出しているかについて調査し、(課題4)こうしたクエーカー式の合議形式が、特に紛争解決といった長期型の調停において、英米の民主制を雛形にした日本の民主制においてどのように適用可能かについて考察する。 本研究は、2020年3月から開始を予定しているが、現時点では、クエーカーの合議形式の社会学的特徴、政治学的特徴について分析・把握するための準備作業として、合意形成論や現代民主主義の理論に関する習熟、および合意形成に関する数理社会学的な分析のための数学的スキルの向上に努めている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、2020年3月から開始予定であるが、現時点ではクエーカーの合議形式について分析するための準備作業として、合意形成学や現代の民主主義理論についての習熟に努め、また彼らの合議形式の特殊性について明らかにするために数理社会学的分析を行うために必要な数学的スキルの向上に努めている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020~2021年度は、(1)英米のクエーカー系大学の図書館やクエーカーの研修機関を訪れ、17世紀から現代に至るまでの議事録の選択的な収集と分析を行い、クエーカーがどのように合意形成を行ってきたかについて政治的・社会学的観点から明らかにするための研究を行う。(2)ロンドン年会の会議に実際に参加し、また参加者にインタビューすることで質的研究を行う。(3)ジュネーブおよびニューヨークにもあるクエーカー国連事務所(Quaker United Nations Office)に足を運び、Directorと対談を行うことで、世俗のレベルでどのようにしてクエーカー式の合意形成が行われているのかについて調べる。(4)以上の調査を基に、クエーカー式の合意形成について従来の社会学的・政治学的観点からの分析のみならず、数理社会学的な観点からの分析を行い、クエーカーの合議形式の特性と民主制への適用可能性について明らかにし、論文としてまとめる。
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