2020 Fiscal Year Annual Research Report
Determination of wage and asset distribution: An analysis using a labor search model with firm heterogeneity
Project/Area Number |
17KK0047
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
荒渡 良 同志社大学, 経済学部, 准教授 (20547335)
|
Project Period (FY) |
2018 – 2020
|
Keywords | 所得分布 / 政府支出 / 国債発行ルール |
Outline of Annual Research Achievements |
令和二年度には昨年度から引き続き,マクロ経済における所得分布の形成に注目した以下の三つの研究を実施した. 一つ目は,政府支出サイズの変化が所得格差と経済成長率に与える影響についての理論的研究である.この研究は昨年度には論文の形としてまとめられていたが,本研究が示唆する理論的含意と過去の実証研究との関係が明確にはなっていなかった.そこで,米国のデータを用いた数値分析を行い,更に政府支出サイズと経済成長率に関する過去の実証研究を整理することで,本研究が与える経済学的含意を明確なものにした.これらの改訂を行った上で,現在査読付きの国際学術雑誌に投稿準備中である. 二つ目の研究は昨年度に行った国債発行ルールの形成に関する研究である.この研究では家計が双曲割引を持つために時間非整合性に直面しており,各時点において最適な国債発行限度ルールが異なるという状況を考えた上で,最適な国債発行上限ルールを理論的に明らかにした.研究成果は昨年度の時点で査読付きの国際学術雑誌に投稿されたが,その後何度かの改訂を重ね,査読付き国際学術誌European Journal of Political Economyに掲載が決定した. 三つ目の研究は複数国による協調国債発行ルールの形成に関する研究である.国債発行限度に関するルールは税率や政府支出のサイズに直結するものであり,所得分布の形成に重要な役割を果たす.この研究では特に,EUで採用されているような複数の国が同一の国債発行ルールを採用するという,協調国債発行ルールに注目した分析を行った.分析の結果,協調ルール下と独自ルール下のどちらで経済厚生がより大きくなるのかは,各国の双曲割引の度合いに依存して決まることが明らかとなった.本研究は論文の形にまとめられ,現在査読付きの国際学術雑誌に投稿準備中である.
|
Research Products
(5 results)