2022 Fiscal Year Annual Research Report
Rethinking about legal approaches to Gift : Researches on French family law and charity law
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17KK0063
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 哲志 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (50401013)
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Project Period (FY) |
2018 – 2022
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Keywords | 贈与 / フランス法 / 家族財産 / 生殖補助医療 / 裁判外紛争処理 / 比較法 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度に必要不可欠であったフランス出張は、ようやく9月初旬に実現が叶った。渡航に関するレギュレーション緩和とうまくタイミングが合った。他用務との関係もあり、本研究に割くことができた時間は限られたものの、共同研究者両名とそれぞれに打合せを行い、取りまとめに向けた確認の機会とした。直接の最終成果は、下記の諸活動もあり、年度内には仕上げきれていないが(ただし北海道大学での報告がその一部を成す)、早期に論文として公表したい。 関連する成果は複数ある。第一に、家族・贈与という本研究の視角を別方向に展開した。生殖補助医療、とりわけ第三者ドナーによる配偶子提供を主題化した。日本の状況(2020年の民法特例法、ドナー不足問題)につきフランス語で、フランスの状況(2021年生命倫理法改正によるドナーの匿名性解除、女性カップルによるAIDの利用と親子関係)につき日本語で報告・論文執筆の機会を得た。第二に、家族内贈与の権威的関係の中和という問題設定に関係するものとして、裁判外紛争処理手続に関するフランスの辞典への寄稿がある。日本の家庭裁判所における調停の項目を担当した。第三に、本研究開始当時の所属機関の招聘により、ムスタファ・メキ教授の来日を実現することができた。フランスにおける近時の気候変動訴訟を主題とする講演から、そこでのアソシエーションの活動実態など、本研究に対して多くの示唆を得た。 日本法・フランス法の比較・往還を目的とするこれらの活動は、本課題の申請時にも記した「比較法研究者としてのキャリア充実」という終極的目標に沿うものと評価できる。年度後半は、延期を重ねていたフランス人研究者との共同企画を複数実現した。なかでも、責任者として組織した性的マイノリティーの権利保障をテーマとする大規模な日仏国際研究集会を挙げておきたい。
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