2018 Fiscal Year Research-status Report
エコシステムの可視化と自己組織化パターンの解明によるマネジメント方法の提案
Project/Area Number |
17KK0065
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
辻本 将晴 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (60376499)
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Project Period (FY) |
2018 – 2020
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Keywords | ビジネスエコシステム / エコシステム / プラットフォーム / コンバージェンス / 自己組織化 / 非接触IC / 水素エネルギー / 自動運転 |
Outline of Annual Research Achievements |
本国際共同研究の研究目的は,基課題である「ビジネス・エコシステム(BES)の動作メカニズムの解明と設計・制御法の開発のための研究」をさらに発展させることである.具体的にはIndustry Convergence(産業融合)を伴うBESの進化メカニズムを研究している,世界トップクラスの研究者であるETHのProf. Dr. Fredrik Hacklinと共同研究を行い,次の3つの目的を達成する. 第一に,社会ネットワーク分析と定性分析を組み合わせたBES分析プロセスとツールを作成する.第二に,作成した分析プロセスとツールを具体的な分析対象(非接触ICによる決済,水素エネルギー,自動運転)に適用して,グローバルな産業融合によるエコシステム生成の自己組織化パターンを同定する.第三に,Prof. Hacklinの高度なマネジメント研究力・提案力の支援を受け,具体的なエコシステムのマネジメントに資する提案を行う.以上より,本研究の目的は,定量分析と定性分析を統合したBES分析プロセスとツールの作成,自己組織化パターンに焦点を絞った議論の深化,マネジメントの観点からの提案,という3つの観点から基課題の問題点を解消し,さらに発展させようとするものである. 渡航予定が本年度10月からであるため、現在は具体的な共同研究活動も行いつつ、本格的な共同研究のための事前準備を行なっている。具体的には各目的に対応した先行研究のレビューと、Prof. Hacklinと研究実施者を中心とする研究チームの組成、実務的提案も視野に入れた実務家とのネットワークの構築である。BES分析に関する先行研究の独自のデータベース作成、各分析対象に応じた研究チーム組成、実務家との人的ネットワーク構築は着実に進んでおり、関連研究成果を国際学会で発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
渡航予定が今年度10月からであるため、共同研究は継続しつつも、本格的な共同研究活動の開始のための準備を行なっている。具体的には、3つの目的に対応した形で次の準備を行なっている。 第一に、先行研究の独自データベースの構築である。近年、BESに関する学術論文は急速に増大しており、これまで行なったレビューを再度アップデートする必要がある。そのため、再度関連論文の収集と整理を行なっている。暫定的な結果として、BES分析のツールや方法論に関する論文は必ずしも多くないことがわかった。その意味でも本研究の意義は大きいものと考える。 第二に、3つの個別テーマに関する研究チームの組成である。具体的には非接触ICカードについて深い実務知識を持つ博士課程学生1名、水素エネルギーについて特に技術面での知識が豊富な修士課程学生1名、自動運転については博士課程1名、修士課程1名を研究チームとして組成している。 第三に、実務的提案およびフィールドリサーチのための実務家との人的ネットワークの構築を進めている。具体的には、非接触IC決済について日本で初めて事業化したビットワレットの元経営者、水素エネルギーに関する東工大コンソーシアム、自動運転に関する主要ベンチャー企業と自動車会社の実務家などと連携を形成している。 また、研究成果の途中段階の成果を国際学会で順次発表していっている。以上より、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本年度10月から渡航開始となるため、それまでに日本でできる準備は周到に行う、その上で渡航後の研究の進め方についてProf. Hacklinとも密に相談しながら計画を固めていく予定である。 渡航後は3つの目的に応じてまず第一の目的であるツールと方法論の開発に取り掛かる。その内容を学術論文としてまとめるのが第一の成果目標となる。第二に、設定したそれぞれの具体的研究課題に対してツールと方法論を適用し、理論背景を踏まえた学術論文を執筆する。第三に、BESの設計に関する考え方をまとめて学術論文とした上で、各個別テーマの実務家に対する提案を行い、フィードバックを得る。これらを実施することで集中的に計画に沿った研究を実施することを予定している。
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Research Products
(6 results)