2018 Fiscal Year Research-status Report
Neural and pharmacological mechanism of drug addiction through negative reinforcement
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17KK0074
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
神前 裕 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (80738469)
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Project Period (FY) |
2018 – 2020
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Keywords | 薬物依存 / 連合学習 / 負の強化 / ギャンブル行動 / メタンフェタミン / ニコチン |
Outline of Annual Research Achievements |
メタンフェタミンなどの濫用薬物の慢性反復投与によって個体内に嫌悪的ストレス状態が生じること、その嫌悪状態は薬物摂取環境の一部と連合し環境刺激が条件性嫌悪を誘発する様になること、誘発された嫌悪状態の解消が負の強化子として薬物探索行動を依存へと導くという仮説を検証することが目的であった。本年度は、特定の環境下でメタンフェタミンを反復投与されたマウスが、環境を構成する要素の中で嗅覚刺激に対して条件性嫌悪を学習するという基課題で得られた結果を、刺激強度などの要因を操作する4つの実験から追検証した。研究実施者の異動により基課題で用いた実験装置が使用できなくなったため、新たに自作の装置を作成して実験を行った。基課題で得られた結果のパターンが概ね再現できたが、効果が弱く、装置の改良や刺激強度・種類のさらなる検討が必要であると考えられる。 また濫用薬物とギャンブル依存との関連を調べるため、メタンフェタミンまたはニコチンの反復投与がギャンブル様行動に与える影響をマウスにおいて検証した。一つの報酬を得るために要求される反応数が平均すると等しいがその分布が一様か変動性を持つかにおいて異なる二つの選択肢を用意した。一方の選択肢への反応はFR15スケジュールで、他方はRR15スケジュールで強化された。並立連鎖スケジュールの終環にこれらの選択肢を配置し初環での反応率を選択の指標とした。選択行動が安定した後に7日間、薬物投与下で選択課題を行い、さらに7日間退薬状態にて選択課題を継続した。メタンフェタミン退薬時に、マウスは固定選択肢(FR)を選好する傾向を示した。ニコチン退薬時に、マウスは変動選択肢(RR)を選好した。ギャンブル行動を構成する要素のうち、報酬確率の変動性に対する嗜好に濫用薬物が与える影響を引き続き検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
薬物自己投与装置の導入・立ち上げに時間を要したため、先に研究2以降で行う薬物と環境刺激との連合において嫌悪効果が生じるパラメータを探索する実験を実施した。また、新たに濫用薬物とギャンブル様行動との関連を調べる実験系を立ち上げ、有望なデータを得ることができた。このため、研究計画全体としては概ね順調な進展であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きメタンフェタミンが環境刺激との連合学習を通じて個体に嫌悪状態を誘発するメカニズムについて検証を行う。この現象を確立したのちに、薬物自己投与パラダイムと組み合わせた実験を実施することで、随意行動としての薬物探索・摂取が負の強化に制御され依存へと進むメカニズムの検証を行う。
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Research Products
(6 results)