2019 Fiscal Year Annual Research Report
Measurement of Higgs Yukawa coupling to probe new era of high energy physics
Project/Area Number |
17KK0084
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増渕 達也 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (20512148)
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Project Period (FY) |
2018 – 2019
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Keywords | ヒッグス / LHC / 湯川結合 / ボトムクォーク / MPGD / ガス検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度はLHC-ATLAS実験で2015-2018年までに取得された13TeV陽子陽子衝突データ139/fbを用いてヒッグス粒子がボトムクォークに崩壊するモードで精密測定を行った。 特にZHが2つのレプトンとボトムクォーク対崩壊するチャンネル(ZH-->llbb)を重点的に研究した。2018年度の解析で問題があった背景事象の系統誤差について調査し、新しい手法を導入することで大きく系統誤差を削減することに成功した。また、機械学習を用いたヒッグス粒子信号と背景事象の分離をZボソンの偏極に由来する物理変数を導入することで感度改善に貢献した。 これらの改善によって、ZH->llbbチャンネル単独で4σ以上の感度で信号を観測した。また、他のVHチャンネルと結果を統計的に統合することで、LHCでヒッグス粒子の主要生成過程であるZHチャンネルを5.3σ、WHチャンネルを4.0σで世界初観測することに成功した。更に標準模型を超える物理に感度があるヒッグス粒子が高い横運動量を持つ領域の微分断面積を測定し、誤差30%程度で標準模型と矛盾であることを明らかにした。さらに、微分断面積の測定結果で標準模型を拡張した有効場の理論の検証を行い、この測定に感度がある5つのパラメーターに制限をつけ、標準模型からの有意なズレはないことを確認することが出来た。 これらの結果はプレリミナリーな結果として2020年に公表され、EPJCに論文投稿を準備中である。 ガス検出器開発では、以前設計したμ-RWELL検出器の性能評価を進めている。予想以上に検出器・読み出し回路起源のノイズが多いことがわかり、より正確な性能評価をするためにノイズの低減に取り組んでいる。
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