2018 Fiscal Year Annual Research Report
Qualitative study on model equations arising in mathematical biology from a viewpoint of the bifurcation theory
Project/Area Number |
17KK0086
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮本 安人 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (90374743)
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 一層ステファン問題 / 自由境界問題 / 比較定理 / 強最大値原理 |
Outline of Annual Research Achievements |
フランスのパリ郊外にあるUniversite de Paris-SudのDanielle Hilhorst氏に,訪問研究員として半年間受け入れて頂き,偏微分方程式に関する国際共同研究を行った. 具体的には,受入教員であるDanielle Hilhorst氏と,氏が指導する博士課程大学院生のBouguezzi Mariem氏と共同で,ある化学反応のモデル方程式(放物型偏微分方程式)の解の基本的性質を共同で研究した. その化学反応のモデル方程式は,複数の未知関数からなる放物型偏微分方程式系で,境界条件も複雑であるので,まず,その方程式を簡単化した方程式の解の基本的性質を研究した.それまでのMariem氏らの研究により,その方程式は,(1)自己相似解を持つこと,(2)その自己相似解は具体的に表示できること,(3)任意の初期関数から出発した解は自己相似解にある意味で近づくこと,などが数学解析や数値解析などにより明らかにされていた. そこで,共同研究ではこれらの性質を数学的に厳密に証明することが目標となった.まず,モデル方程式を変数変換すると,Friedmanが50年代に研究した古典的な一層ステファン問題と完全に一致することが分かった.解の存在と一意性については,Friedmanの結果から成り立つことが明らかになった.次に,自己相似解の存在や,自己相似解への収束などの解の性質の証明には,比較定理と比較定理を証明するための強最大値原理の拡張が必要となることが分かった.それらの先行研究を調査して,この問題に適用可能かどうか考察した. 半年間では,予想された全ての性質を証明するには至らなかったので,今後も継続して共同研究を行うこととなった.
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