2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17KK0087
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 雅人 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 准教授 (00726599)
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Project Period (FY) |
2018 – 2020
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Keywords | 可積分系 / チャーンサイモンズ理論 / 素粒子理論 / 数理物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は予定通りペリメータ研究所及びプリンストン高等研究所に渡航し,ペリメータ研究所のKevin Costello氏及びプリンストン高等研究所のEdward Witten氏と共同研究を行った.Costello氏,Witten氏及び筆者による共同研究の成果を"Gauge Theory and Integrability, I" ICCM Not. 6, 46-119 (2018) 及び"Gauge Theory and Integrability, II", ICCM Not. 6, 120-146 (2018) として学術雑誌に発表した. この二編の論文は合計で100ページにも達する長大なものであり,可積分格子模型,特にそのスペクトルパラメーターや可解性の起源についてこれまでとは全く異なったアプローチ(4次元チャーンサイモンズ理論からのアプローチ)を可能にした.この枠組みでは,摂動的な展開を持つ全ての可積分模型を統一的に理解することが可能になり,またなぜある種の模型が可解であるが,それ以外の模型は可解でないかの説明を与える.可積分系もスペクトルパラメーターの問題は,90年頃よりWittenによって提起された問題であり数十年来の歴史を持つが,その問いがCostello氏の論文および今回の結果で解決されることとなった. 現在はCostello氏と共同研究で,4次元チャーンサイモンズ理論からのアプローチを可積分場の理論に適用する研究を行なっている.そのうちの一編の論文はすでに完成しており,近日プレプリントサーバーに公開できる予定である. また,関連した研究,例えばaffine Gaudin model,thermodynamic Bethe ansatzについても検討を始めたほか,本研究の副産物としてチャーンサイモンず理論のT-dualityについての新たな単著論文"New T-duality for Chern-Simons Theory"をプレプリント arXiv:1904.04976 [hep-th] として発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在はCostello氏と共同研究で,4次元チャーンサイモンズ理論からのアプローチを可積分場の理論に適用する研究を行なっている.そのうちの一編の論文はすでに完成しており,近日プレプリントサーバーに公開できる予定である.また,さらにもう一編,可積分場の理論の量子的側面についての論文にもすでに着手している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず,4次元チャーンサイモンズ理論からのアプローチを可積分場の理論に適用する研究について,その古典的側面を扱った論文を完成させ,学術雑誌に投稿することを目指す.また,その成果を複数の国際研究集会で発表し,我々とは異なりより伝統的な手法で可積分を研究する研究者との討議を行う予定である.また,可積分場の理論の量子的側面についての論文を来年度をめどに完成させることを目指す.可積分場の理論の量子的側面,例えばその繰り込みや量子可積分性については未知のことも多く,我々のアプローチが記述的なレベルでも新たな成果をもたらすと期待できる.
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Research Products
(20 results)