2019 Fiscal Year Research-status Report
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17KK0087
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 雅人 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 准教授 (00726599)
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Project Period (FY) |
2018 – 2020
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Keywords | 可積分系 / チャーンサイモンズ理論 / 素粒子理論 / 数理物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はペリメータ研究所に計2回渡航し,ペリメータ研究所のKevin Costello氏と共同研究を行った.Costello氏及び筆者による共同研究の成果を"Gauge Theory and Integrability, III" (arXiv:1908.02289 [hep-th])としてプレプリントサーバーに発表し、現在改訂中であると同時に雑誌投稿に向けて準備中である.この論文は100ページにも達する長大なものであり,数多くの新たな内容を含んでいる。 (1)可積分場の理論の古典的な可積分系(平坦接続の存在)がチャーンサイモンズ理論の古典的な運動方程式から自動的に従う。つまり、可解性の起源についてこれまでとは全く異なったアプローチ(4次元チャーンサイモンズ理論からのアプローチ)を可能にした. (2)既知の可積分系模型の多くを導出すると同時に、例えばその楕円型の変形、また共形対称性を破る変形など、様々な変形を議論することが可能になった。 (3)種数が高い一般のリーマン面に付随した一般的な古典可積分系を更生し、さらにリーマン面を切りはりしたときに対応する可積分系模型で何が起こるかを解明した。 これまでのところ古典的な側面を扱ってきたが、現在はCostello氏と共同研究で,量子的な効果を取り入れた可積分性について研究が進んでいる。本論文は大きな注目を集めており、既に世界中からフォローアップ論文が出版されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Costello氏と共同研究で,4次元チャーンサイモンズ理論からのアプローチを可積分場の理論に適用する研究について、計画通り完成することに成功した。現在は量子効果を取り入れた側面の研究を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず,4次元チャーンサイモンズ理論からのアプローチを可積分場の理論に適用する研究について,その古典的側面を扱った論文を改訂し、学術雑誌に投稿することを目指す.また,その成果を複数の国際研究集会で発表し,我々とは異なりより伝統的な手法で可積分を研究する研究者との討議を行う予定である.また,可積分場の理論の量子的側面についての論文を来年度をめどに完成させることを目指す.可積分場の理論の量子的側面,例えばその繰り込みや量子可積分性については未知のことも多く,我々のアプローチが記述的なレベルでも新たな成果をもたらすと期待できる.
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Research Products
(11 results)