2021 Fiscal Year Research-status Report
Atmospheric tidal variabilities during ENSO
Project/Area Number |
17KK0095
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
Liu Huixin 九州大学, 理学研究院, 准教授 (70589639)
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Project Period (FY) |
2018 – 2022
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Keywords | 大気圏・電離圏結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
対流圏と海洋間の相互作用現象であるエルニーニョ・南方振動(ENSO)が、高度100kmから1000kmにわたる熱圏・電離圏にまで影響を及ぼしていることがわかった(Liu, 2016)。本国際共同研究ではENSO期間中降雨による水蒸気変化に伴う放射熱と潜熱変動を数値シミュレーションで定量化し、大気潮汐波を変動させる原因に迫る。今年度は、2015年のENSOに対する潮汐変化とそのメカニズムを解明した。具体的に、地上および衛星観測により、赤道中間圏・下部熱圏の潮汐成分DW1ががエルニーニョの年であった2015年7月から10月にかけて強まった。この増強は、大気電離層モデルによる21年間の再解析主導のモデルシミュレーションで再現された。解析の結果、(1,1)ハフモードがこの潮汐増強を支配しており、そのピーク振幅は90km地点で中立(非ENSO)条件下よりも7.4K(74%)大きいことが示された。これに対応する潮汐加熱は0.4mWkg-1(5%)増加することがわかり、(1,1)増強の0.5K(7%)を説明することができます。残りの6.9K(93%)を説明するために、帯状風の鉛直波数と緯度シアを計算し、上方伝播の条件を定量的に検討した。その結果、18kmから60kmの間の鉛直波数は、中立状態のときよりも1標準偏差小さくなっていることがわかった。また、帯状風の緯度方向のシアーは18N/S°で30kmの範囲で減少した。これらの結果は(1,1)モードの上方伝播時の散逸や減衰が小さく、高度90kmでの潮汐の強まりに大きく寄与していることを示唆するものである。この鉛直波数及び風速の減少は、下部成層圏の準2元振動(QBO)の東進位相により合理的に説明できる。本研究は、2015年のエルニーニョとQBOの東進位相が重なったことにより、DW1の大きな増強が誘発されたことを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響で、国際共同研究相手のアメリカ国立大気研究センターの研究者と対面の研究打ち合わせや数値シミュレーションの調整などはよて通り進むことが難しかった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響を考慮しながら、計画を進む予定です。
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