2022 Fiscal Year Research-status Report
Atmospheric tidal variabilities during ENSO
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17KK0095
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
Liu Huixin 九州大学, 理学研究院, 准教授 (70589639)
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Project Period (FY) |
2018 – 2023
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Keywords | エルニーニョ / オゾン / 大気潮汐 |
Outline of Annual Research Achievements |
対流圏と海洋間の相互作用現象であるエルニーニョ・南方振動(ENSO)が、高度100kmから1000kmにわたる超高層大気領域にまで影響を及ぼしていることが長期間の衛星観測から見出され(Liu, 2016)、重要な関心を呼ぶ研究テーマとなっている。本研究はそのテリコネクションのメカニズムを解明することが目的である。今年度はENSOによるオゾン変化の大気潮汐に与える影響を明らかにした。エルニーニョによる対流圏オゾン変調が潮汐に与える影響を評価するため、地上から上空までの大気電離層モデルを用いて、帯状対称オゾン密度とオゾン縦断変動という2つのシミュレーションを行った。その結果、オゾン変調は、高度約20kmから約100kmにおいて、DW2潮汐の第1対称モードを平均で約5%強めることが明らかになった。これらの応答は、対流圏オゾンの変調に起因すると考えられる。これらの結果から、オゾン空間構造の変調が大気潮汐に数パーセントの影響を与えることが示唆された。また、GAIAモデルによるシミュレーションを行い、熱圏の帯状平均運動量バランスを調べることで、CO2濃度2倍に対する熱圏帯状平均風の応答メカニズムを探った。解析の結果、イオン抵抗、分子粘性、子午線圧力勾配力は、CO2濃度の2倍化によって他の力の3〜20倍も変化することがわかった。この3つの力は互いに強く減衰し、その結果、帯状平均帯状イオン抗力の増加が支配的に強化される。このイオン抵抗の強化は、北半球/南半球でイオン密度/イオンと中性粒子間の相対速度が増加することに起因する。一方、帯状風は、CO2濃度増加に対する熱圏密度の緯度非対称な応答による子午線圧力勾配力の増加によって主に変化することがわかった。この結果は、北半球のイオン密度の増加が、CO2濃度増加に対する風の応答の根本的なトリガーであることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの影響などで、アメリカ共同研究者との交流はやや不足しているが、オンラインdiscussionなどの努力により、おおむね順調に進展している。2022年9月に3年ぶりに共同研究者と対面discussionすることができ、今後の推進についても議論ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後エルニーニョによる大気潮汐の変化が電離圏にどのように影響するのかを調べる。そこで、大気モデルと観測を持ち合わせて、磁気嵐時の電離圏の影響はエルニーニョ時期とそうでない時期の違いを明らかにする。
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Research Products
(16 results)