2018 Fiscal Year Research-status Report
Star Formation in strongly magnetized clouds
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17KK0096
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
町田 正博 九州大学, 理学研究院, 准教授 (10402786)
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Project Period (FY) |
2018 – 2020
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Keywords | 星形成 / 原始惑星系円盤 / 磁気流体 / ジェット / 惑星形成 / 原始星 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年8月30日から9月25日にかけてカナダのUniversity of Western Ontarioに滞在し、Shantanu Basu教授と強い磁場を持つ分子雲コア中での星形成過程に関する共同研究を行った。今回の共同研究では、強い磁場を持つ分子雲コアを初期条件として分子雲コアの重力崩壊から原始星の形成、星周円盤の成長とジェット、アウトフローの駆動とその伝搬を3次元非理想磁気流体シミュレーションによって再現した。その結果、星形成過程で出来る円盤は、イオン化度が低く磁場が散逸しており、磁気制動が有効でない領域で形成して成長することが分かった。円盤領域では、有効な角運動量輸送過程が存在しないため、質量が増加し重力不安定により渦状碗が発達する。この渦状碗による重力トルクによってガスが急速に中心星に落下する。その際に開放される重力エネルギーの一部がジェットの運動エネルギーに変換されることを示した。また、ジェットやアウトフローによって角運動量が中心部分から輸送され星形成が促進されることを示した。これらを単一のシミュレーションによって示したが、原始星形成後2000年間という長時間の計算に成功したのは、この研究は初めてである。この研究の内容は、Shantanu Basu教授との共著ですでに査読誌「The Astrophysical Journal」に受理されている。また、帰国後にShantanu Basu教授と議論した磁場の双極性拡散を考慮した褐色矮星形成の研究を開始しており、2019年に再度University of Western Ontarioを訪問した際に集中的に研究を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように2018年度には、University of Western Ontarioに滞在し、Shantanu Basu氏と共同研究を行った。Shantanu Basu氏は、磁場を考慮した分子雲コアからの星形成過程の研究の世界的権威であり、彼との研究によって、自身の研究も飛躍的に進んだ。上記のように、Basu氏との最初の研究は査読誌に受理済みであり、十分な成果を挙げている。また、2018年度の滞在時に今後の当該分野の課題について様々な議論を行った。帰国後、滞在時の議論をもとに研究を進めており、現在その内容をまとめている。新規研究の内容は、今まで議論されてきた磁気制動と初期の分子雲コアの回転軸と大局的磁場の関係に関するものであり、従来の研究を統一して一貫した説明を与えることに成功した。この論文は現在執筆中であるが、2019年度には査読誌に投稿する予定である。また、Basu氏のアイデアによって、磁気亜臨界コア中での褐色矮星の研究にも着手しており、この研究もおおむね順調に進展している。このようにいくつかShantanu Basu氏とはいくつか並行して研究を行って、またその成果も出している。そのため、順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
Shantanu Basu氏は、過去に磁気亜臨界コア中での星形成過程の研究を行っており、その成果は広く受け入れられている。しかし、過去の研究では、星が出来るまでは計算されていなかった。2019年度には、2018年度に続き、カナダのUniversity of Western Ontarioに滞在して、磁気亜臨界コア中での星形成の研究を推進する予定である。近年ALMA望遠鏡の偏光観測から星形成領域の磁場が非常によく整列していることが示されている。これは、乱流ではなく、磁場によって星形成過程がコントロールされていることを示している。分子雲コアの磁場が非常に強い場合、ローレンツ力が重力を上回るために収縮して星が誕生することが出来ない。しかし、分子雲コアは弱電離プラズマ状態にある。そのため、非理想磁気流体力学の磁気双極拡散という効果によって磁場が分子雲コアから抜けるという現象が起こる。この現象によって、ローレンツ力が弱くなり、重力が優勢となって収縮して星が誕生する。しかし、磁場が抜けるまでには、1千万年程度の時間がかかる。そのため、その時間内に磁気制動という効果によって角運動量が外層に輸送される。また、磁場が抜けながら収縮するため緩やかな星形成になると考えられる。そのため、従来の星形成とは異なり、星周円盤やアウトフローが現れない特殊な星形成となることが予測される。近年の観測でこのように円盤もアウトフローもない天体が観測され始めている。星形成過程の包括的な理解のため、2019年度は、Basu氏と磁気亜臨界コア中の星形成に関して集中的に議論して研究を推進する予定である。
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Research Products
(1 results)