2022 Fiscal Year Research-status Report
銀河形成期における宇宙網から銀河へのガス降着過程の研究
Project/Area Number |
17KK0098
|
Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
松田 有一 国立天文台, アルマプロジェクト, 助教 (20647268)
|
Project Period (FY) |
2018 – 2023
|
Keywords | 初期宇宙 / 宇宙網 / 銀河形成 / データ解析 / 迷光解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙網は冷たい暗黒物質による構造形成理論から予想されるネットワーク構造であり、初期宇宙の宇宙網に沿って分布するガスは銀河形成の元になっていると考えられている。しかし、宇宙網から銀河へのガス流入がどのように起きたのかは観測的に明らかになっていない。そこで、本研究では、すばる望遠鏡を用いて、初期宇宙の宇宙網に沿って分布する水素ガスの広域地図を作成し、さらにケック望遠鏡や宇宙望遠鏡群を用いて、宇宙網中のガスの詳細観測を行い、宇宙網から銀河へのガス流入過程を明らかにする。 研究代表者は、すばる望遠鏡の重点観測プログラム「Mapping of ionizing radiation on the cosmic web with Lyα emission and shadow (MIRACLES)」を立ち上げ、主焦点カメラのハイパーシュプリームカムを用いて、広視野と深さを両立させた、これまでにない初期宇宙における宇宙網の撮像観測を開始した。プログラムは2021年2月から2023年7月までの2年半で98時間かけて行われる計画となっている。 コロナの影響により延期していた渡航を2022年度に開始した。2022年度のMIRACLESの観測研究を推進し、観測手順書の作成、および、取得データの確認作業を行った。本研究では表面輝度の低い広がった構造を観測対象としており、誤検出を防ぐためには迷光による影響をいかに取り除くかが鍵となる。データの初期解析結果に基づき、迷光の影響をより低減できるように観測手法の見直しを行った。すでにデータの写り込んでしまった迷光の位置と明るい星の座標、および、光軸中心との関係を確認し、データ整約時に迷光を除去できるように準備を進めた。初期解析結果について、2023年1月に行われたすばるユーザーズミーティングにおいてMIRACLESの進捗について口頭発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響により延期していた渡航を2022年度に開始することができたが、すばる望遠鏡インテンシブプログラムの観測の達成率は50%ほどであり、宇宙網についての確実な研究成果が得られるまでには至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
すばる望遠鏡インテンシブプログラムについては達成率を上げるために、2023年度以降への観測時間補填要求を提出した。すばるによる観測を進めるのと並行して、先行研究によるVLT/MUSEデータがある領域について、すばるの新たなデータとケック望遠鏡のデータを組み合わせることにより、宇宙網に沿って分布している可能性のある矮小銀河の存在を確認するための解析を開始した。
|
Research Products
(2 results)