2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of heterogeneous catalyst systems based on bifunctional chiral ligands and finely designed metal nanoparticles
Project/Area Number |
17KK0101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮村 浩之 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (00548943)
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Project Period (FY) |
2018 – 2020
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Keywords | 不均一系触媒 / 超分子 / 金属ナノ粒子 / 不斉合成 / フロー合成 / クラスター / 遷移状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
キラルジエン骨格と二級アミド構造を有する二機能性キラル配位子と新たに開発したポリシランーアルミナ複合担体に固定化したロジウム金属ナノ粒子触媒を用いるキラル金属ナノ粒子触媒系がβγ―不飽和―αケトエステルへのアリールボロン酸への1,4付加反応にて高い収率,高いエナンチオ選択性をもって進行することを見出した.様々な官能基を有するアリールボロン酸や,芳香環および,脂肪族のβγ―不飽和―αケトエステル基質いずれにおいても高い収率,選択性が得られた.ポリシランーアルミナ固定化ロジウム金属ナノ粒子触媒は10回の回収,再使用において97%ee以上の高いエナンチオ選択性を維持したまま,不斉反応を触媒することを明らかとした. また, UC BerkeleyのProf. F. D. Tosteらの共同研究グループらのキラリティを有する正四面体型の超分子クラスター触媒技術と,研究代表者の不均一系触媒化技術との融合によって,前年度新たに開発した高分子固定化キラル超分子クラスター触媒を用いて,新たに不斉Aza-Cope反応の検討を行った.その結果,不均一系キラル超分子クラスター触媒は,不斉Aza-Cope反応において,収率およびエナンチオ選択を維持したまま,5回以上の回収,再使用が可能なことを見出した.さらに,高分子担体中の四級アンモニウムカチオンの構造によって,触媒活性及びエナンチオ選択が大きく影響を受けることを見出した.種々の反応機構研究により,高分子担体中の四級アンモニウムカチオンが固定化されている超分子クラスターの外部ゲストとして作用し,超分子クラスターの遷移状態のダイナミズムを制御することで,触媒能の変化が生ずるという理論を提唱した.このような高分子中に固定化されている超分子クラスターの触媒機能の調節原理は,生体膜中に固定化されている膜タンパク質や膜酵素の活性制御機構に類似している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キラルジエン骨格と二級アミド構造を有する二機能性キラル配位子とポリシランーアルミナ複合担体に固定化したロジウムナノ粒子からなるキラル金属ナノ粒子を用いる触媒系がβγ―不飽和―αケトエステルへのアリールボロン酸への1,4付加反応においては,幅広い基質一般性をもって,反応が高い収率,高いエナンチオ選択性をもって進行することを見出すことができた.また,活性と選択性を維持したまま,10回以上の回収,再使用も可能であった.一方,UC BerkeleyのProf. F. D. Tosteらの共同研究グループらのキラリティを有する正四面体型の超分子クラスター触媒技術と,研究代表者の不均一系触媒化技術との融合によって,新たに開発した高分子固定化キラル超分子クラスター触媒を用いて,新たに不斉Aza-Cope反応の検討を行った.その結果,活性や選択性を維持したままの回収,再使用が行えることを明らかにできた.さらに,高分子担体中の四級アンモニウムカチオンが固定化されている超分子クラスターの外部ゲストとして作用し,超分子クラスターの遷移状態のダイナミズムを制御することで,触媒能の変化が生ずるという予想外の結果を見出すことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は,UC BerkeleyのProf. F. D. Tosteらの共同研究グループらのキラリティを有する正四面体型の超分子クラスター触媒技術と,研究代表者の不均一系触媒化技術との融合によって,新たに開発した高分子固定化キラル超分子クラスター触媒を用いて,バッチ系において,不斉Aza-Cope反応が進行することを見出した.令和二年度は,本不均一系キラル超分子クラスター触媒をカラムに充填し,基質を流通させることで,不斉Aza-Cope反応を行う検討を計画している.さらに,令和元年度,予想外の結果として高分子担体中の四級アンモニウムカチオンの構造によって,触媒活性及びエナンチオ選択が大きく影響を受けることを見出した.令和二年度は,高分子担体中の四級アンモニウムカチオンが,固定化されている超分子クラスターの外部ゲストとして作用し,超分子クラスターの遷移状態のダイナミズムを制御することで,触媒能の変化が生ずる,という仮説についてのより詳細な検証を行う.具体的には,高分子中の四級アンモニウム構造のかさ高さを変えたり,キラルな四級アンモニウム構造を用いることによるマッチーミスマッチによる触媒活性やエナンチオ選択性への影響を検証する.同時に,外部添加の四級アンモニウム塩が触媒活性やエナンチオ選択性に与える影響についても検討を行う.
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Research Products
(3 results)