2018 Fiscal Year Research-status Report
化学的に改変した光合成超分子複合体の励起エネルギー移動・散逸機構の解明
Project/Area Number |
17KK0106
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
佐賀 佳央 近畿大学, 理工学部, 教授 (60411576)
|
Project Period (FY) |
2018 – 2019
|
Keywords | 光合成 / 励起エネルギー移動 / 光保護機能 / クロロフィル / カロテノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
光合成初期過程では、光捕集アンテナ複合体が光合成機能の効率化のために光エネルギーを集めるとともに過剰なエネルギーは捨てるというインテリジェンスな機能を有する。このような光捕集アンテナ超分子複合体の高効率の光捕集・励起エネルギー移動と過剰エネルギーの散逸による光保護機能の理解は光生命化学の発展に寄与するとともに、人工的な光エネルギー変換システムを開発するうえで有用な情報を与えうると考えられる。そこで本研究では、化学的に改変し摂動を与えた光合成超分子複合体を構築し、それらの機能を解析することによって光合成初期過程で重要な機能を理解することを目的とした国際共同研究を推進した。 本年度はオランダのアムステルダム自由大学で光合成初期過程に関して顕著な成果を挙げている研究室に滞在し、光合成の光捕集に関わる複合体に関して共同研究を実施した。光捕集アンテナ超分子複合体において重要な役割を果たしているクロロフィル類やカロテノイド類を再構成的方法論によって超分子複合体に導入し、得られたアンテナ超分子複合体のエネルギーフローに関する情報を得ることを目指した。そのため、光合成生物からクロロフィル類とカロテノイド類を単離精製し、光捕集アンテナ超分子複合体との再構成挙動を調べるととも、改変したアンテナ超分子複合体を生化学的手法で精製した。その結果、光捕集アンテナ超分子複合体への色素導入に対する分子種の依存性に関する情報を得ることができた。また、新たに得られた光捕集アンテナ超分子複合体の基本的な分光特性や励起エネルギー移動の特性を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
渡航先外国機関であるオランダ・アムステルダム自由大学において、光合成系の化学的改変と機能解析に関する研究を順調に推進することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に得られた研究成果をもとに、さらなる機能解析や他の光合成系の改変を進める。また、得られた研究成果をまとめる予定である。
|