2020 Fiscal Year Research-status Report
Clarification on characteristics of the impurity transport in high-temperature plasmas by using a new tracer-encapsulated solid pellet
Project/Area Number |
17KK0121
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
田村 直樹 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (80390631)
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Project Period (FY) |
2018 – 2021
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Keywords | プラズマ・核融合 / 炉心プラズマ / 不純物輸送 / トレーサー内蔵固体ペレット / TESPEL |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、研究代表者が開発した、高温プラズマ中の不純物の動きを追跡するトレーサーを約1cmの範囲と極めて限定的に注入できる新型トレーサー内蔵固体ペレット(TESPEL)を用いて、磁場閉じ込め高温プラズマ中において不純物が取り得る分布パターンの形成メカニズムを明らかにすることを目的としている。特に、日本の核融合科学研究所の高温プラズマ閉じ込め実験装置、大型ヘリカル装置(LHD)単独では不可能なパラメーター依存性に関して、ドイツのマックスプランク・プラズマ物理研究所のW7-X、スペインのエネルギー・環境・科学技術研究センターのTJ-IIにおいても実験を実施することで、より包括的かつ体系的な知見を一気呵成に得ることを目的としている。 2020年度は、引き続き、これまでW7-X、TJ-IIで実施した実験でTESPELにより入射された不純物のプラズマ中での輸送係数を求めるための解析を進めた。その結果、W7-Xでの実験に関しては、実験結果を精度良く説明できる不純物輸送係数を導出することができるようになった。本成果は、今後開催予定のワークショップや学会で報告する予定である。TJ-IIでの実験に関しては、W7-Xで適用した解析手法を用いて、不純物輸送係数の導出を進めているところである。なお、2020年度は、2019年度終わりから始まったコロナ禍の影響が続いており、海外渡航が許される状況ではなかったため、中断している海外の研究機関への訪問は実施できなかった。また、2020年度は、コロナ禍の影響のため、ドイツのW7-X、スペインのTJ-II、両装置とも実験は実施されなかった。以上のことから、本研究課題の補助期間の1年間延長を申請し、これが認められたところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
W7-Xにおいては、当初、実験結果から導出した不純物トレーサーの供給位置そのままを不純物輸送係数を求めるための計算コードに入力しても、実験結果を精度良く説明できる不純物輸送係数のプラズマ小半径方向の分布を導出することができなかった。この問題に対して、不純物輸送係数の初期値の入力の仕方を見直すことで、実験結果を精度良く説明できる不純物輸送係数分布を導出することができるようになった。TJ-IIにおいては、W7-Xで適用した解析手法を適用して、不純物輸送係数の導出を進めているところである。また、両装置とも、2021年度には装置の運転が再開される予定であることから、運転再開後の実験計画について、Web会議システムを利用して、何度か打合せを行った。残念ながら、コロナ禍の影響により当初の予定通り計画が進んでいるとは言えないことから、本研究は、やや遅れている、と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
W7-Xにおいては、TESPELによって導入された不純物の輸送係数を精度良く導出できるルーチンが確定したことを受けて、W7-Xで実施した全ての実験における不純物輸送解析を進めて、次の実験期において補完すべきパラメーター領域を明らかにする。また、開発が終了していないW7-Xにおいて使用許可の判断が必要のない不純物トレーサーを内包した新型TESPELの開発に取り組む。TJ-IIにおいては、2021年5月頃にTESPEL入射実験が予定されており、それに遠隔で参加する(同実験に必要なTESPELは、2019年末訪問時に準備済み)。同実験やこれまで実施した実験における不純物輸送解析をW7-Xで見いだした手法を用いて進める。以上により、得られた成果について、前年度に引き続き、国内外で開催されるワークショップや学会に参加して報告し、本国際共同研究について外的評価を受ける。また、得られた成果をまとめて、コミュニティにおいて認知度の高い学術論文誌に投稿する。
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