2022 Fiscal Year Research-status Report
synthesis of a hemin-containing copolymer as a novel immunostimulator
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17KK0122
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
山崎 智彦 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (50419264)
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Project Period (FY) |
2018 – 2023
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Keywords | ヘモゾイン / ヘム結晶 / ヘミン / アジュバント / 酵素合成 / ヘモゾイン無毒化酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、動物由来成分を含まないヘム含有ポリマーを開発し、免疫賦活化剤としてワクチンアジュバントへの応用を目指す。マラリア原虫により生産される疎水性ヘムダイマー集合体であるヘモゾイン結晶がトール様受容体9(Toll like receptor-9: TLR9)のリガンド分子として機能することが報告されている(Cell Host & Microbe 7, 50-61, 2010)。申請者は、新規免疫活性化剤の開発とヘモゾインの免疫活性化機構の解明を目的として、ヘモゾインの構成最小単位であるヘミンを修飾した水溶性ヘム含有ポリマーの開発と評価を進めている(Int. J. Nanomedicine, 13, 4461-4472, 2018)。ヒトとマウスの免疫細胞を用いた評価で、開発した水溶性ヘム含有ポリマーは免疫活性化能を示す結果が得られており、今後ワクチンアジュバントとしての医薬応用が期待される。しかしながら、原料となるヘミンは動物血液から調製された物質であるため、ウィルス感染の危険性や宗教上理由から実用化に課題が残る。この問題を解決するためにスウェーデンLund大学のLeif Bulow教授との国際共同研究によりの植物により組換え生産したヘモグロビンならびに微生物が生産するヘミンを水溶性ヘム含有ポリマーの原料として用いることを目指す。 渡航を予定していた2020-2021年度においては、新型コロナウィルスの感染の広がりの影響で渡航ができなかったが、本年度より渡航を開始し、微生物を用いたヘミンの生産を進めている。また、微生物体内においても、酸化還元状態を制御することによりヘム結晶ができる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大により渡航が困難であったため、研究計画変更を行った。そのため進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験計画では、(1)スウェーデンルンド大学において植物ならびに微生物由来のヘムを調製、(2)そのヘムを原料に水溶性ヘム含有ポリマーならびにヘモゾインを合成し、細胞ならびにマウスを用いた評価を日本で実施する。(3)その結果をフィードバックしてLund大学でヘムの調製について、最適化を実施することを計画していたが、計画を大きく変更した。 国内において、酵素合成ヘモゾインの合成方法の条件検討を進め、すでに細胞と実験動物を用いた機能評価が完了している。2023年度は、Lund大学において、微生物由来のヘムの調製を確立するとともに、微生物由来ヘムを用いたヘモゾインの合成を試みる。
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