2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of the unified method of tsunami source inversions
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17KK0138
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
高川 智博 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (30451785)
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Project Period (FY) |
2018 – 2021
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Keywords | 津波 / 波源 / インバージョン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は津波波源インバージョンの事前準備として必要なグリーン関数データベースの計算効率を相反原理に基づいて効率的に行う方法の背景となる理論を導出し,相反原理の成立条件を精査した.その結果,相反原理が成立しない方程式系でもアジョイントモデルの開発によりグリーン関数を逆向きに計算することでデータベースの計算効率を飛躍的に高められることがわかった.この方法により,高解像度のデータベースが容易に得られるようになり,これまで困難であった即時的な矩形断層モデルの推定が可能になった.マグニチュード9クラスの地震津波では,断層面が広く,面内の滑り量分布の多様性が大きいことから,様々な形状の津波波源を表現可能な自由度の高い津波波源推定手法が最適である.しかしながら,マグニチュード7クラスの地震津波では波源域が相対的に狭いために,多くの観測点で早期に波形を得ることが難しく,自由度の高い波源推定手法では推定結果が不安定になったり,解像度が極端に低くなったりする問題があった.一方で,マグニチュード7クラスの津波では一様な滑り分布を持つ矩形断層モデルでも津波の波形予測に十分な精度を有することが報告されており,自由度が少ない分,安定した推定が行えることが期待できる.このような観点から本年度は均一滑りの矩形断層モデルパラメータを津波波形から推定するプログラム開発を行った.断層パラメータの推定問題は複数の局所解が存在し,全体最適化が困難な問題であるが,レプリカ交換マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いることで安定的に正解値が得られることを数値的な双子実験により確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,津波波源推定における2大手法である順方向伝播と逆方向伝播に基づく手法の利点を統合した新しい波源推定法を構築し,基本的なテストケースにおいて安定的に正解値が得られることを確認できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
実観測データに開発手法を適用し,その有効性を検証する.
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