2019 Fiscal Year Research-status Report
細菌型sRNAにおけるHfq結合領域の構造原理の解明
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17KK0146
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
森田 鉄兵 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助教 (10444366)
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Project Period (FY) |
2017 – 2020
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Keywords | 小分子RNA / 転写後制御 / Hfq / 大腸菌 / 転写終結 |
Outline of Annual Research Achievements |
Hfq結合型小分子RNA(sRNA)は、細菌で一般的な遺伝子発現の制御因子の1つである。本研究課題の目的は、sRNAがどのような機能構造を必要とするか、そして特に転写終結に焦点を当て、その機能構造の形成に必要な要素は何かを突き止めることである。本年度は、平成30年度にNIHでの共同研究により得られた成果をもとに、所属機関において研究を進めた。結果として、新規に同定した転写終結を阻害する因子が、モデルsRNAであるSgrSに加えて、他のsRNAの転写終結や生合成に影響を与えること、また一部のsRNAの機能を低下させることを確認した。これまで、sgrSの変異解析により、適切な位置での転写終結がsRNAの生合成に重要であるというモデルを示してきた。上記の結果は、このモデルを支持するものであり、また転写終結の制御因子によるsRNAの新規発現制御の可能性を示唆する。これらの結果は、Gorden Research Conference(米・ベイツ大学)や第93回 日本細菌学会総会(愛知)シンポジウムなどで発表した。 共同研究者であるSusan Gottesman博士(NIH)を日本に招聘し、京都大学(秋山 教授)との共催によりウイルス・再生医科学研究所セミナーを開催した。Gottesman博士と日本の細菌研究者との交流の場になり、活発な議論がなされた。Gottesman博士とは、スカイプや電子メールにより定期的にディスカッションを行っている。また、7月には1週間Gottesman博士の研究室に滞在し、今後の研究の進め方などを議論した。sRNA生合成と転写終結の研究について、背景や現状の課題を抽出した総説論文をFront. Cell. Infect. Microbiol.で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究者であるGottesman博士を日本に招聘し、日本の細菌研究者との交流の場を提供したことは、本年度のもっとも意義のある成果である。総説論文の発表により、研究領域に問題提起したことも特筆すべき成果である。新規因子の機能解析も計画通りに進んでいることから、本研究課題はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
新規因子が転写終結に及ぼす影響を明らかにするために、現在RNAseq解析を進めている。得られる結果をノーザンブロッティングにより確認し、転写終結制御の全容を解明する。4月にNIHのGisela Storz博士を招聘し、関連学会での招待講演、およびミニシンポジウムを行う予定だったが、渡航制限のため中止となった。Webを利用した交流の機会を考えている。
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Research Products
(4 results)